本研究は 1.ウィリアムズ症候群における共同注意と語彙獲得の様相をマッカーサー言語発達質問紙を用いて検証すること。 2.ウィリアムズ症候群における注意のシフトを客観的に視線追跡装置を用いて計測することにより、注意のシフト(特に顔への注意からの解放)が共同注意の発達に与える影響を明らかにすること。 3.注意のシフトと語彙の発達の関係を明らかにすること により、定型発達児の言語発達に資する情報を提供することを目指した。ウィリアムズ症候群の語彙発達については、本年度もマッカーサー言語発達質問紙によりデータを収集を継続することができたが、注意のシフトの計測については本年度に至るまで成功に至らず、当初の目的を果たすに至らなかった。若年のウィリアムズ症候群患児においては注意のシフトを測定する前に、初めに注意を一点に固定するコントロールが難しかったためである。 代わりに、ウィリアムズ症候群が持つ認知特性(視空間認知障害)が語彙の獲得(位置を表す言葉や時間を表す語彙の発達など)に関して「疾患横断的に」影響するか否かを検討することを目的に、対象を、自閉症スペクトラムを持つ児、脳室周囲白質軟化症を持つ児に広げ、視空間認知障害の特性の有無と、特定領域の語彙獲得のレベルの関連性を検討する研究を立案し、これまでの研究につなげることとした。現在、ウィリアムズ症候群を持つ児、自閉症スペクトラムを持つ児について、臨床的観点からの共同注意の発達と領域別の語彙獲得について、データを収集中である。
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