研究実績の概要 |
本研究は、精巣体細胞(セルトリ細胞)分化におけるepigeneticな分子制御機構の解明を目的とし、さらには幹細胞(ES細胞)から性 腺細胞の作製法の開発および性腺機能不全患者における臨床応用を行なうことを最終目標として行っている。(1)精巣セルトリ細胞分 化に必須な転写因子、Ad4Bp/Sf1、Sox9が及ぼすepigeneticな制御、特にDNAの脱メチル化酵素であるTet1, 2, 3の転写制御機構の解明 (2)精巣セルトリ細胞分化におけるDNA脱メチル化酵素、Tet1,2,3 が果たす分子機構の解明 (3)ES細胞に、Ad4Bp/Sf1、Sox9、GATA4 などセルトリ様細胞分化に必要といわれている因子に加え、Tet1,2,3を導入し、セルトリ細胞を分化誘導、作成する。 本研究の特色としては以下のことが挙げられる。 細胞分化とその制御機構の解明において、エピジェネティックな変化に必須な分子の転写制御が、その細胞分化に必須な転写因子によ って直接制御されるという点に着目した研究報告は殆どなく、本研究はその点において先進的かつ独創的であると言える。さらに本研 究は、エピジェネティック制御の細胞分化への重要性をセルトリ細胞において明らかにすることを当初の目的とするが、本研究で得ら れた知見は、全ての細胞の分化における普遍的な機構を解明する契機となる可能性がある。その意味において本研究が今後細胞分化の パラダイムを変え得る大きな転換点となる可能性があり、今後の再生医療に大きく寄与する可能性があると考えている。現在Tet1,2,3 以外にも、エピジェネティクスの制御に関わる分子と、精巣特異的転写因子であるSox9との関連について網羅的に解析を行っている
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