研究課題
福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は、福山により報告・確立された先天性筋ジストロフィーの一型であり、重度の筋ジストロフィーに脳奇形を伴う常染色体劣性遺伝性神経筋疾患である.申請者はFCMDがスプライシング異常症により発症することを見出し、異常スプライシングを是正するアンチセンス核酸を用いた骨格筋に対する根治療法の可能性を以前報告した(Taniguchi-Ikeda, et al, Nature 2011).その後、製薬会社との共同開発研究によりヒトに対する初の臨床治験にむけた前臨床試験が開始された.本研究は①臨床試験を成功させるための臨床検査評価法の確立を目指す臨床研究及び②骨格筋だけでなく、罹患組織である脳・胎生期の形成異常に対する胎児治療を含めた核酸治療法の適応拡大を目的とし、ドラッグデリバリーシステム(DDS)、応用的治療法を用いた包括的治療法の確立を目指した基礎研究を行う.1 臨床検査評価法に関し、運動機能評価・画像解析・血中由来の筋・心筋の重症度判定に役立つバイオマーカーの検索を行った。継時的な変化に関しても評価を行った。これらがそれぞれ相関するようなバイオマーカーが同定できた。2マウスモデルにおける中枢神経系の機能評価を行った。マウスモデルでは疾患の表現型がでないことがわかり、ヒト細胞系を用いたモデル系が必要であることがわかった。まだDDSに関しては、超音波を用いた治療法確立に関する実験を行い、一定の成果を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
1 臨床検査評価法に関し、運動機能評価・画像解析・血中由来の重症度判定に役立つバイオマーカーの検索を行った。これらがそれぞれ相関するようなバイオマーカーが同定できた。これらの成果は平成29年度中に発表あるいは論文として公開を予定している。2マウスモデルにおける中枢神経系の機能評価を行った。マウスモデルでは疾患の表現型がでないことがわかり、ヒト細胞系を用いたモデル系が必要であることがわかった。まだDDSに関しては、超音波を用いた治療法確立に関する実験を行った。これらの治験は今後の臨床治験や中枢神経系における研究の足掛かりとなり、平成29年度中にはある程度の成果が出るものと考えている。
本年度はこれまでの研究を総括し、来る臨床治験の実現に向けて臨床研究で得られたデータに関するサブクラス解析の結果をまとめる予定である。今後は多施設でのデータもまとめ検討する予定である。基礎研究で得られた知見を成果として公表できるよう再現実験を行い、成果の発表をおこなってゆく。
H28年度は初年度で購入した試薬で研究が可能であった。また、最終年度に予定している再現実験のためにH29年度に繰り越して使用を予定している。また論文投稿費用なども必要であるため、次年度に繰り越して使用を予定とした。
論文投稿費用、論文構成費用、成果発表費用、再現実験のための分子生物学的試薬使用、動物実験飼育費用
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
Journal of Human Genetics
巻: 未定 ページ: 未定
10.1038/jhg.2017.48.
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