研究課題/領域番号 |
15K09622
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
秋山 倫之 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10379737)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | けいれん重積型脳症 / 熱性けいれん / ピリドキサールリン酸 / アミノ酸 / メタボローム解析 |
研究実績の概要 |
岡山大学病院、小児神経科医のメーリングリストを通じ、国内各地の医療機関に対して検体収集への協力を依頼している。けいれん重積型脳症患者、熱性けいれん患者の検体収集がやや遅れているため、検体収集時の検体取扱い基準をやや緩和し、検体収集をより行いやすくした。今後、日本小児神経学会からの共同研究支援を活用し、さらに多くの検体の収集体制を整えていく予定である。 前年度改良した髄液中ピリドキサールリン酸(活性型ビタミンB6)、ピリドキサール、4-ピリドキシ酸(ピリドキサールの代謝産物)の高感度測定系に関しては、日本人小児116名における髄液検体の測定による年齢群別の基準値を作成し、論文として報告した。この過程で、てんかん患者においては、髄液中ピリドキサールリン酸濃度が、非てんかん患者よりも低値であることが判明した(多変量解析により抗てんかん薬の影響を除外)。基準値が設定できたので、今後はけいれん重積型脳症、熱性けいれん患者における測定を行っていきたい。 また、代謝物質測定の一環として、髄液中モノアミン類、5-メチルテトラヒドロ葉酸(活性型葉酸)の測定系を作成し、42例および先天性代謝疾患患者における測定結果の論文報告を行った。 神経伝達物質アミノ酸(グルタミン酸、γ-アミノ酪酸等)の高感度測定系に関しては充分進捗しておらず、分析条件の最適化を続けていく必要がある。 メタボローム解析については、髄液検体における予備実験を開始している。けいれん重積型脳症等の患者検体については、まとまった量の検体が集まってから一度に測定を試みた方がよいため、今年度は分析を行わず、来年度以降に備え検体の保存を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
けいれん重積型脳症患者、熱性けいれん患者の検体収集がやや遅れている。 神経伝達物質アミノ酸(グルタミン酸、γ-アミノ酪酸等)の高感度測定系の作成が遅れている。分析に時間がかかるため、分析条件の最適化に手間取っている。 メタボローム解析に関しては、髄液による予備実験の最中である。けいれん重積型脳症患者、熱性けいれん患者の検体が充分集まっていないため、来年度以降に行う予定とした。
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今後の研究の推進方策 |
小児神経学会の共同研究支援、小児神経科医メーリングリスト、岡山大学関連病院等を通じて本研究の周知を繰り返し行い、収集検体数を増やしていく。 神経伝達物質アミノ酸の液体クロマトグラフィによる分離条件(カラム、移動相、流量、温度等)の検討を行い、信頼性のある高感度測定系を構築する。 収集検体数が増えたところで、髄液のメタボローム解析を順次行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
メタボローム解析を今年度に行わなかったため、当初の予定よりも支出額が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
ピリドキサールリン酸、ピリドキサール、4-ピリドキシ酸の分析や神経伝達物質アミノ酸の分析条件検討のため、分析カラム、試料前処理用の試薬(蛍光誘導体化試薬等)、移動相用の試薬(緩衝液作成用の塩類、有機溶媒等)、消耗品(ピペットチップ、フィルタ等)を購入する費用、高速液体クロマトグラフィ機器のメンテナンス費用に用いる。また、メタボローム解析費用としても用いる予定である。
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