我々の施設において多中心性手根骨足根骨融解症(Multicentric Calpotarsal Osteolysis syndrome:MCOS)患者に認められたp.Arg63Gly(R63G)変異、過去の文献で表現系の浸透率が100%でないp.Thr62Pro(T62P)変異の骨芽細胞や軟骨細胞における骨分化能や細胞増殖能をはじめとした機能解析を継続した。軟骨細胞様細胞であるATDC5細胞および骨芽細胞様細胞であるMC3T3E1細胞にこれらの変異の発現ベクターをトランスフェクション試薬により一過性に発現させ、ATDC5細胞、MC3T3E1細胞でのRunx2 mRNAの発現量について検討を検討した。MC3T3E1細胞においてはMafBの過剰発現は細胞死を起こしたため、検討を断念した。ATDC5細胞については昨年の検討の結果(コンフレント前であった場合(野生型=T62P>R63G)、コンフレント後(R63G>T52P>野生型)になるという結果)の再現性があるのかどうかを検討し、同様の結果を得た。またSiRNAの導入によるMafBノックダウンの効果について検討を現在継続したが、MC3T3E1細胞、ATDC5細胞の両者において様々な条件設定を行なった上でMafB mRNAのノックダウンを試みたが、ノックダウン効率が悪く、今年度の検討では解析が進まなかった。今後はMCOS患者自身の細胞をiPS細胞化して、骨芽細胞、軟骨細胞、破骨細胞への分化させ、それぞれの分化能や増殖能、破骨細胞系に分化させた場合は骨吸収能や多核化細胞への分化能などを検討して、MCOSの骨吸収の病態についての検討を行なっていくことを検討している。
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