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2015 年度 実施状況報告書

Pten変異マウスを用いた新しいてんかん病理・治療モデルの確立

研究課題

研究課題/領域番号 15K09624
研究機関九州大学

研究代表者

酒井 康成  九州大学, 大学病院, 講師 (10380396)

研究分担者 中別府 雄作  九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30180350)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードPten / てんかん / mTOR / 海馬 / 治療 / ラパマイシン / 自閉症
研究実績の概要

PI3K-AKT-mTOR経路は、てんかんおよび自閉症に関与する共通の分子経路である。Phosphatase tensin homolog (Pten)は本経路を負に制御する重要な脂質脱リン酸化酵素であり、その突然変異により、多発腫瘍を特徴とするPten過誤腫症候群の他、自閉症、てんかんなどの神経学的徴候を来たすことが知られている。今回、我々はPomc陽性ニューロン特異的Pten欠損マウスを作成し、その神経学的フェノタイプを観察した。本マウスは生後9週目頃からけいれんを自然発症し、ほぼ全てのマウスが11週頃までに死亡した。生化学、顕微鏡学的観察結果を通じて、本マウスの海馬歯状回は、年齢依存的に肥大・変形し、またけいれんに先立って、海馬における興奮抑制バランスおよびCrh-Pomc (ACTH)バランスが変化していることを明らかにした。ビデオモニター下での脳波測定では、海馬起源と考えられるてんかん性放電を捕捉した。mTOR阻害薬・ラパマイシンの投与により、けいれん症状は軽減し、これらの分子フェノタイプも正常化することを確認した。本マウスは脳内限定的な領域でPtenを欠損しても、難治性・致死性てんかんを発症すること、AKT-mTOR経路とCrh-ACTH軸との機能的関連性をはじめて示した研究である。AKT-mTOR経路の過剰活性化は、大脳皮質異形成を来たすことが知られており、難治性てんかんの分子病理と新しい治療の確立に有用である。Matsushita et al., Sci Rep 6, Article number: 22991 (2016) doi:10.1038/srep22991.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

原著論文を発表した

今後の研究の推進方策

新しい治療点を探索する

次年度使用額が生じた理由

報告した論文掲載料(オープンジャーナル)

次年度使用額の使用計画

本年度同様の使用予定はない

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Hyperactive mTOR signals in the proopiomelanocortin-expressing hippocampal neurons cause age-dependent epilepsy and premature death in mice2016

    • 著者名/発表者名
      Matsushita Y, Sakai Y, Shimmura M, Shigeto H, Nishio M, Akamine S, Sanefuji M, Ishizaki Y, Torisu H, Nakabeppu Y, Suzuki A, Takada H, Hara T.
    • 雑誌名

      Sci Rep 2016

      巻: 6 ページ: 22991

    • DOI

      10.1038/srep22991

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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