研究課題/領域番号 |
15K09626
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
中山 智博 茨城県立医療大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70307528)
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研究分担者 |
岩崎 信明 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (70251006)
石井 一弘 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70323293)
中村 勇 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 講師 (20549505)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミトコンドア遺伝子疾患 / 新規遺伝子治療 / 化学化合物 |
研究実績の概要 |
遺伝子治療が困難で対症療法のみにとどまっている致死型ミトコンドリア遺伝子疾患であるMELAS(乳酸アシドーシスおよび脳卒中様発作を伴うミトコンドリア脳筋症)に対し、ウィルスベクターを利用しない化学化合物(DNA結合化合物PIポリアミド、発明者:矢野隆光(研究協力者))による新規遺伝子治療を確立することを目標としている。この効果は患者サイブリッド細胞では効果が確認されていた。このため、患者皮膚線維芽細胞を用いてPIポリアミドの効果を培養条件下に確かめることを計画した。 平成27年度には茨城県立医療大学倫理委員会の規定に従って3名のMELAS患者および患者対照から皮膚片を採取し、3か月の継代培養を経て皮膚線維芽細胞培養系を樹立した。また、皮膚線維芽細胞を用いたポーラログラフィーによるミトコンドリア機能測定の予備実験を行い、測定系の条件を確立した。しかしながら研究協力者の健康上の理由により実験が中断され、PIポリアミドを添加した細胞培養に至らなかった。 平成28年度には新たな研究教職者に依頼し、3種類の異なる濃度のPIポリアミドを添加した細胞培養を1か月間、2回行った。継代培養の際、1週間毎にトリプシン処理をした細胞の一部からDNA抽出キットを用いてDNAを抽出した。そしてPCRを行い、PIポリアミドの効果を検討した。その結果患者皮膚線維芽細胞ではPIポリアミドは遺伝子変異率に対して効果がないことが確認された。また細胞の代謝系に対しての効果を確認するためのマススペクト解析を行うため、細胞培養上清を凍結保存した。 平成29年度にはマススペクト解析の予備実験を行い、測定系の条件を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度に研究協力者の健康上の理由により実験が中断され、PIポリアミドを添加した細胞培養に至らなかった。このため全体的に遅れている。 平成28年度より新たな研究者に依頼し実験を再開したが、平成29年度中途で退職となり、再び実験の遅れにつながった。
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今後の研究の推進方策 |
患者皮膚線維芽細胞に対しPIポリアミドは遺伝子変異率を改善する効果はないことがわかった。しかしながら細胞の代謝系に対しては効果がある可能性があり、マススペクト解析を行うこととした。予備実験を行い測定条件が確立したため、平成30年度に解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に研究協力者の健康上の理由から実験が中断し、このため予定していた謝金の支払いが停止となった。また当初外部委託予定であったマススペクト解析が平成28年度より当施設で行うことが可能となったため、新たに実験の条件検討をする必要が生じた。平成29年度より研究分担者を主体に実験を継続している。
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