研究課題/領域番号 |
15K09629
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
藤本 崇宏 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10446114)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Dp71 / 蛋白分解 / 会合蛋白 / 分子間相互作用 / 脳神経細胞 |
研究実績の概要 |
今年度の前半では、前年度の解析において見出したDp40会合分子候補群を対象として、相互作用の検証実験を行った。HEK293TをホストとしたDp40安定発現細胞にて同定した会合分子候補は、ユビキチンリガーゼファミリーに属する蛋白とRNA結合蛋白であったが、特異抗体を用いた検証実験の結果、内在性蛋白レベルでの有意な生化学的相互作用は認められず、また細胞内局在もポジティブな結果は得られなかった。 他方、マウス脳抽出物を材料として同定した会合分子候補であるシグナル分子に関しても検証した。その結果、特異抗体による生化学的相互作用は認められず、また発現ベクターを用いた強制発現系においても有意な相互作用は観察されなかった。 前年度の推進方策でも記述したが、Dp40とは個別に、脳に高発現するDp71を対象とした分子病態解析を下半期で進めた。その結果、以下に列挙する成果がもたらされた。①Dp71蛋白の分解制御機構の一端として、定常状態下の細胞と、活性状態下の細胞でそれぞれ関与する分解経路を見出した。②Dp71安定発現細胞を樹立し、さらに会合分子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Dp40の会合分子群の検証実験ではネガティブな結果に終わったが、並行して進めたDp71を対象とした解析にて、期待以上の産物が得られ、現在論文投稿準備中である。 特に、Dp71蛋白の分解制御機構に関する知見は神経可塑性の分子基盤を説明付けるものと期待でき、今後のさらなる詳細なシグナル経路解析や、Dp71とDp40の関係性の理解に繋がる。さらに、Dp71会合蛋白候補は神経細胞において機能するシグナル制御分子であることから、次年度での発展研究課題の一つとして期待される。 また、Dp71の基本性質に関する論文を共著者として発信した。
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今後の研究の推進方策 |
Dp71蛋白分解制御機構の解析については、Dp71蛋白の翻訳後修飾の有無と、それを制御するシグナル経路を明らかにすることに努め、Dp71分子病態の理解とその制御標的部位の同定に繋げる。翻訳後修飾の解析には検出系の確立とその特異性を保証するための検証実験系を設定する。シグナル経路の同定には阻害剤等の薬理学的手法でアプローチを試みる。また、活性状態下における分解の生物学的意義についても検討を加えたい。 Dp71会合蛋白候補に関する解析については、当該分子間相互作用の生物学的意義の解明を目指して遺伝子発現ノックダウン等を駆使した研究を進める。
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