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2015 年度 実施状況報告書

小児骨髄異形成症候群(RAEB, RAEBT)の分子病態解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K09653
研究機関岡山大学

研究代表者

嶋田 明  岡山大学, 大学病院, 講師 (70391836)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードRAEBT / RAEB / 遺伝子変異 / epigenetic変化 / メチル化
研究実績の概要

従来、RAEB, RAEBT の治療成績は、造血幹細胞移植なしで化学療法のみでは生存率は30%とされ、造血幹細胞移植が推奨されてきた。一方近年FAB 分類でRAEBT と診断された、芽球比率20%以上30%未満の症例は、WHO 2008 分類では急性骨髄性白血病(Acute myeloid leukemia, AML)と診断された。これを受け、本邦小児の全国的白血病研究グループであるJapan Pediatric Leukemia Study Group (JPLSG)では、従来のWHO 分類のRAEBT 症例27 例について、AMLの化学療法を行ったところ、22 例が寛解に入り、うち10 例のみが移植を行い、6 例生存しているのに対し、移植なしの症例は12 例中10 例生存していた。次に日本小児血液・がん学会(Japanese Society of Pediatric Hematology/Oncology, JSPHO)のMDS 委員会の協力の元、RAEB 例についても後視的解析を行ったところ、データが集まった19 例中寛解導入療法が行われた16 例については、12 例が寛解に入り、うち8 例が移植を受け、7 例が生存、一方移植を受けなかった4 例は全例が生存していた。これらの結果は、RAEBT/RAEB 症例の中にも骨髄移植なしで治癒可能な症例が存在することを示唆した(現在Leuk Res 投稿し、revised中)。
またRAEBT例についてはde novo AMLでみられる、NRAS, KRAS, FLT3, KIT, WT1, NPM1などの遺伝子変異は、de novo AMLでみられるものより明らかに少なく、パイロットで行った、RAEB/RAEBT 3例のターゲットシーケンスによる解析では、GATA3, ASXL1, SETBP1など成人のMDSでみられる変異が見つかっている。
25種類のがん抑制遺伝子のプロモーターのメチル化解析ではRCC 4例、RCMD 2例と正常コントロールではメチル化は見られなったのに対しRAEBT/RAEB 4例のうち3例でESR1ないしCADM1遺伝子のメチル化が共通して見られた。これらの遺伝子のメチル化はAMLでもみられるため、病勢の進展に関与しているものと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

過去の臨床データについては、まとめて国際学会で発表し、現在Leuk Resに投稿し、revised中である。target sequenceとepigenetic解析の予備実験は終了している。今後RAEBT/RAEBの多数例の解析については、JPLSGのAML委員会内で承諾を得ており、倫理審査書類準備中である。また日本造血細胞移植学会のTRUMPデータを用いて、これまでAYA世代までのRAEB/RAEBT例に関する移植の全データを集めることも内諾を得ている。

今後の研究の推進方策

今後RAEBT/RAEBの多数例でtarget sequenceとepigenetic解析を行う予定である。また日本造血細胞移植学会のTRUMPデータを用いて、これまでAYA世代までのRAEB/RAEBT例に関する移植の全データを集め、データベースを構築する予定である。また移植されない例は、漏れてしまうので、JPLSG AML委員会内にRAEBのworking groupを立ち上げ、前方視、後方視的データ収集とデータベースの構築を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

次世代シーケンサー関連試薬が高額なため、次年度に回し、合算して物品購入を行いたいため。

次年度使用額の使用計画

次世代シーケンサー関連試薬の購入

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] AML-oriented chemotherapy is effective for RAEB and RAEBT in children2015

    • 著者名/発表者名
      Akira Shimada, Akitoshi Kinoshita, Atsushi Manabe, Daisuke Hasegawa, Miharu Yabe, Hayato Miyachi, Hiromichi Matsushita, Tomohiko Taki, Masami Inoue, Asahito Hama, Daiichiro Hasegawa, Masafumi Ito, Akio Tawa, Seiji Kojima, Souich Adachi
    • 学会等名
      EWOG-MDS
    • 発表場所
      Aarhus, Denmark
    • 年月日
      2015-10-01 – 2015-10-03
    • 国際学会
  • [学会発表] Retrospective Analysis of Infant AML in Japan from 2000-20102015

    • 著者名/発表者名
      Akira Shimada, Daisuke Tomizawa, Atsushi Ogawa, Takashi Taga, Toshihiko Imamura, Akio Tawa, Keizo Horibe, Tomohiko Taki, Yasuhide Hayashi, Souichi Adachi
    • 学会等名
      International BFM Annual meeting
    • 発表場所
      Budapest, Hungary
    • 年月日
      2015-05-08 – 2015-05-10
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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