研究実績の概要 |
FAB分類のRAEBT例についてはWHO2008分類ではAMLに分類され、WHO2016分類でも踏襲された。FAB分類のRAEB例に関してもWHO2016分類で大きな変更はみられなかった。RAEB例はこれまで前方視的解析がなかったため、JPLSG AML委員会で観察研究を行うことが決定した。 メチル化解析に関しては、Methylation-Specific Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification(MS-MLPA)法を用いて、25種類の癌抑制遺伝子のpromotorのメチル化解析を実施した。low grade MDSに分類されるRCC (n=5)、RCMD(n=2)ではメチル化はみられなかった。一方high grade MDSのRAEB (n=3)では、ESR1とCADM1遺伝子のメチル化、RAEBT (n=2)ではESR1, CDKN2B, CADM1遺伝子のメチル化がみられた。AML (n=23)では、ESR1, CDKN2B, CADM1, TP73, CDH13,などのメチル化がみられたが(中央値1個、0-5個)、正常検体や寛解期検体のDNAではメチル化はみられなかった。 変異遺伝子解析に関しては、白血病に関与していると考えられる163遺伝子をパネル化したtarget sequenceを行った。RAEB/RAEBT(n=4)では、GATA3, PTPN11, SMARCA2, BRCA2, CREBBP, IKZF3, ASXL1, CRLF2, SETBP1, NRASなどに変異がみられた。これはAML (n=23)と比較して、GATA3, ASXL1などの成人MDS/AMLでは多くみられ、小児のMDS/AMLでは少ない遺伝子変異がみつかっており、興味深い。今後症例数を増やす予定である。
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