研究実績の概要 |
これまで検討した例については、2018年度のアメリカ癌学会(AACR)にて、【Aberrant Methylation of Tumor Suppressor Genes in Pediatric Myelodysplastic Syndrome / Acute Myeloid Leukemia】という演題名で、以下の内容のポスター発表を行った。 RARB, RAEBTなどのadvanced MDSや小児急性骨髄性白血病(AML)において、遺伝子変異のみならず、がん抑制遺伝子(Tumor suppressor gene, TSG)のメチル化などのepigeneticな変化も重要である。対象はlow grade MDS 7例, advanced MDS 4例、AML 22例(男子10名, 女子12名, 年齢0-14歳、年齢中央値 6歳)。メチル化に関しては Methylation-Specific Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification法を用いて、25個のTSGのpromotor領域法の解析を行った。遺伝子解析については白血病関連の163遺伝子をパネル化し、次世代シーケンサーで、target sequenceを行った。12/22(54.5%) 患者が少なくとも一つ以上のTSGのメチル化がみられた(メチル化TSG 各患者で0-5個)。20%以上の患者で CDKN2B, CADM1, CDH13 and ESR1などのメチル化がみられた。寛解期検体、low grade MDS検体ではメチル化はみられず、すべてのadvanced MDS検体では、1- 2個のメチル化がみられた。このためlow grade MDS, Advanced MDS, AMLと病気の進展に伴いTSGのメチル化が進行していくことが示唆された。同時に行った遺伝子解析ではGATA1, IKZF1, KRAS, KIT, FLT3, SH2B3, PIK3CD, PU.1, SMARC1, ALKなどの変異が認められたが、成人のAMLでみられるASXL1, TET2 and EZH2などのepigenetic modification遺伝子の変異は見られなかったため、成人AMLと小児AMLでは発症様式が異なる可能性が示唆された。
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