研究実績の概要 |
Methylation-Specific Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification (MS-MLPA)法を用いて、24種類のがん抑制遺伝子のpromotorのメチル化解析を実施した。Low-grade MDSに分類されるRCC(n=5), RCMD(n=2)ではメチル化はみられなかった。一方high grade MDSのRAEB(n=3)では, ESR1とCADM1遺伝子のメチル化, RAEBT(n=2)ではESR1, CDKN2B, CADM1遺伝子のメチル化がみられた。当初予定していた成育医療センターに保存されているJPLSGのMDS検体の供給がなされなかったため、MDSのメチル化解析はこれ以上進められなかった。 AML(n=22)では, 計12/22(54.5%)でメチル化がみられたが(中央値1個, 0-5個), 正常検体や寛解期検体ではメチル化はみられなかった。 ESR1, CDH13, CDKN2B, CADM1が高頻度にメチル化し, それ以外の18遺伝子ではメチル化はみられなかった。CBF-AMLではnon-CBF-AMLよりメチル化がみられた((7/8 vs. 5/14, p<0.05))。特にt(8;21) の4/4で CDH13 , inv(16) の3/4 でESR1のメチル化がみられた。正常核型とFAB-M3(n=3)ではメチル化はみられなかった。ターゲットシーケンスで8個のがん抑制遺伝子について解析したが、変異はみられなかった。 それ以外のepigenetic modifierとして有名なDNMT3A/3B, TET2, IDH1/2, ASXL1, EZH2遺伝子などの変異もみられなかった。以上よりがん抑制遺伝子のメチル化はadvanced MDSの状態から開始していることが示唆された。
|