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2015 年度 実施状況報告書

亜急性硬化性全脳炎の病態解明とバイオマーカーの確立

研究課題

研究課題/領域番号 15K09654
研究機関山口大学

研究代表者

長谷川 俊史  山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90314806)

研究分担者 大賀 正一  山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60233053)
松重 武志  山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60528941)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード亜急性硬化性全脳炎 / トリプトファン代謝 / キノリン酸
研究実績の概要

【背景】トリプトファン代謝の主要経路であるキヌレニン経路はindoleamin 2,3-dioxygenase (IDO) が律速段階酵素となり, 免疫抑制や神経毒性に関与することが報告されている. 本研究では亜急性硬化性全脳炎 (SSPE) 患者の血清および髄液を用いてキヌレニン経路の活性化および代謝産物であるキノリン酸の濃度を検討した.
【対象および方法】SSPE患者の診断時血清および髄液, 対照群として血清および髄液を対象として, 血清キヌレニン/トリプトファン比(KYN/Trp比)および髄液キノリン酸濃度について検討した. またこのうち1症例における髄液キノリン酸の経時的変化と神経障害との関係についても検討した.
【結果】血清KYN/Trp比はSSPE群と対照群の間には有意差を認めなかった (p=0.88). 一方で髄液中キノリン酸濃度はSSPE群では, 対照群に比して有意に高値であった (p < 0.001). また経時的に測定できたSSPE症例の髄液中キノリン酸濃度は神経障害(neurological disability index score: NDI score)および病日と有意な正の相関を示した.
【考察】髄液中キノリン酸がSSPEの病態に関与している可能性が示唆された. 代謝産物であるキノリン酸の増加はキヌレニン経路の活性化を示唆する. キヌレニン経路の活性化は免疫抑制能獲得に関与するとされ, SSPEにおける変異型麻疹ウイルスの持続感染への関与の可能性も考える. またキノリン酸はNMDA型グルタミン酸受容体アゴニストとして興奮性神経毒性をもつため, SSPEにおける神経症状との関係が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

髄液中キノリン酸がSSPEの病態に関与している可能性およびSSPEにおける神経症状との関連が示唆された. 髄液中キノリン酸がSSPEの病勢を表すバイオマーカーになる可能性が示唆された.

今後の研究の推進方策

今後研究協力者と協力し, SSPE検体数を増やし, 髄液中キノリン酸濃度とSSPEの病勢の関連を明らかにしていく.
またSSPEウイルス感染独自の免疫応答を明らかにすることにより, 更なるバイオマーカーの発見や新規治療法開発への可能性を探索する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] Banu Anlar/Department of Pediatric Neurology/Hacettepe University Faculty of Medicine(トルコ)

    • 国名
      トルコ
    • 外国機関名
      Banu Anlar/Department of Pediatric Neurology/Hacettepe University Faculty of Medicine
  • [学会発表] 亜急性硬化性全脳炎におけるキヌレニン経路活性化の検討2015

    • 著者名/発表者名
      松重武志, 井上裕文, 梶本まどか, 岡 桃子, 長谷川俊史, 大森啓充, 奥野海良人, 滝川 修, 大賀正一
    • 学会等名
      第57回日本小児神経学会
    • 発表場所
      帝国ホテル大阪 (大阪府大阪市)
    • 年月日
      2015-05-28 – 2015-05-30

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-02-22  

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