研究課題
背景:ケモカインCCL8はヒトGVHD患者及びマウスGVHDモデルの血漿中で上昇していることが示され、GVHDのバイオマーカーとして期待されている。これまでの我々の研究で、MHCの異なるマウス間での骨髄移植ではケモカインCCL8が血漿中に高濃度で検出され、GVHDの病勢、早期死亡率と相関する事が明らかとなっている。またin vitro CCL8発現系では、MHCの異なるマウスの脾臓細胞を混合培養(白血球混合培養)する事で培養上清中にCCL8タンパクが高濃度に発現する事を明らかにしてきた。この系においてCCL8タンパクの発現は誘導刺激となるサイトカインをブロックする事により低下する。また我々はCCL8 ノックアウトマウス(CCL8 KO) を作成し、ケモカインCCL8の機能解析をすすめている。実験方法:wild type Balb/c、wild type C57BL/6、CCL8 KO Balb/c, CCL8 KO C57BL/6の脾臓細胞による白血球混合培養系で遺伝子操作によるCCL8のmRNA発現knockdownを試みた。CCL8 KOマウス細胞を用いた白血球混合培養と、CCL8 knock downしたものとを比較して、in vitro RNAiの可能性を検討した。ドナーレシピエントともwild typeの組合わせでは培養上清中にCCL8タンパクの発現がみられるが、CCL8KOマウス脾臓由来細胞を用いた白血球混合培養では、CCL8タンパクの発現は見られなかった。CCL8 mRNAに対するsiRNAを白血球混合培養系に加える事によりCCL8タンパクの発現は若干低下した。様々な遺伝子操作によってCCL8の発現はコントロール出来る可能性が示された。
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札幌医学雑誌
巻: 86 ページ: 45-51
10.15114/smj.86.45