研究課題/領域番号 |
15K09658
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
橋本 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (50322342)
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研究分担者 |
細矢 光亮 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80192318)
錫谷 達夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40196895)
橋本 優子 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305357)
川崎 幸彦 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (00305369)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | RSV / ワクチン / 臨床分離株 / 中和抗体価 |
研究実績の概要 |
RSVは2つのサブグループ(A、B)に分類され、さらに複数の遺伝子型が各サブグループ内に存在し、抗原的、遺伝的多様性が、毎年の流行、再感染の一因と考えられている。NA1, NA2は新潟市での2001年-2007年の株解析により初めて報告された遺伝子型であり、遺伝子型ON1は2011年にカナダのオンタリオ州で検出され報告された。いずれもグループAである。福島県では2008年にはNA1が、2009年、2010年においてはNA2が優勢であり、ON1は2013年から分離され、2015年には分離株の90%を占めている。本年度は、ON1出現前の2010年に採取したヒト成人血清を用い、サブグループAの遺伝子型NA1、NA2、ON1、サブグループBの遺伝子型B3について中和抗体価を測定し、中和抗体のサブグループ、遺伝子への交差活性について検討した。 NA1、NA2、ON1、B3への中和抗体価の幾何平均はそれぞれ、48.5、60.3、33.3、89.6であった。32倍以上を示した血清は、NA1、NA2、ON1、B3それぞれにおいて88.6%、97.1%、77.1%、97.1%であった。各遺伝子型への中和抗体価の相関係数は、NA1-NA2、NA1-B3、NA2-B3、NA1-ON1、NA2-ON1、ON1-B3の組み合わせで、それぞれ0.71、0.36、0.35、0.70、0.68、0.30であった。 ON1流行前から、ON1に対する中和抗体は存在したが、他の遺伝子型に比較して有意に低値であった。各遺伝子型においては同一のサブグループ内での中和抗体価は強い相関を示し、一方、異なるサブグループ間では弱い相関であった。以上より、遺伝子型特異的に中和抗体が誘導されることが推察され、さらに同一のサブグループ内では中和抗体の交差活性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に実施したマウスRSV感染モデルを用いサブタイプ、遺伝子型の異なるRSV臨床分離株のそれぞれのワクチン効果について検討した。本年度は、前年度の研究結果をヒト成人血清を用いて検証した。ヒト検体を用いた検証に時間を費やし、マウスでの研究に十分な時間を費やすことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、マウスRSV感染モデルでの研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画にあったマウスを用いた研究がやや遅れ気味なため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
計画に従って研究を実施する。
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