研究課題
第Ⅷ因子(FVIII)は、欠乏は重篤出血(血友病A)、増加は血栓形成を惹起するため、血栓制御において重要な役割を担っている。ゆえに、FVIIIを中心とした凝固血栓形成やその抑制機序解明は、血友病Aの止血治療戦略の確立と血栓形成病態に応じた抗血栓凝固療法の発展に寄与する。次のFVIII活性化/不活化機構の重要知見を得た。1. FVIII-トロンビン制御軸:凝固反応増幅にトロンビンによるFVIII開裂に伴う活性化が必須である。Arg1689開裂を制御するFVIII A3ドメイン上のトロンビン結合部位を限局化することに成功した。この結合領域は以前から合成ペプチドを用いた実験からA3ドメイン酸性領域含有1649-1689、なかでもTyr1664とTyr1680のその周辺の集結した酸性残基が重要とすでに報告してきたが、さらにBHK細胞を用いたこれらFVIII変異体を作製し、さらなる結合責任部位の限局化を行った。10種類の作製したFVIII変異体を用いた実験から、残基1663-1666が結合責任領域の可能性が示唆された。2. FVIII-FVIIa/組織因子(TF)制御軸:我々はFVIIa惹起FVIII活性化が凝固初期相早期に発動することを報告してきた。凝固初期相でのFVIII-FVIIa/TF制御において、① TF依存性にFVIIaのFVIII活性化によるintrinsic Xase発動機序、② FVIIa-FXのextrinsic Xa発動機序、③ FVIIa非依存性FVIII-TF結合による内因系Xase発動するFXa生成促進する機序、④さらにFVIIa formに関係なくFXa-FVIa(/FVIIai)-TF-PL複合体がFVIII/VWFにおいてTFのFVIII-VWF結合を競合阻害することにより、この複合体FXaがFVIII活性化によるtenase生成機序を明らかにした。
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