研究実績の概要 |
今年度は、最終年度として、確立できたマウスの喘息モデルを用いて、肺胞洗浄液 (BALF) および血清中のサイトカイン/ケモカインを網羅的に測定した。方法は、マウスに卵白アルブミン (OVA) を腹腔に2週間隔にて反復感作させ (2.0mg/kg)、さらに2週後、1%OVAを30分間 (3日間) 吸入暴露させた。同時にOVA吸入暴露の3日目にRespiratory syncytial virus (RS) ウイルス (RSV) (10^5 TCID50/25g body weight)を鼻腔より投与した。その3日後、各群(対照群、RSV投与群、OVA投与群、OVA/RSV投与群) のマウスを挿管し、人工呼吸器管理下でBALFと血液を採取した。BALFおよび血清中の23種類のサイトカイン/ケモカイン (IL-1ra, IL-1β, IL-2, 3, 4, 5, 6, 9, 10, 12[p40], 12[p70], 13, 17, Eotaxin, G-CSF, GM-CSF, IFN-γ, KC, MCP-1, MIP-1α, MIP-1β, RANTES, TNF-α) をLuminex system (Bio-Rad) により測定した。その結果、BALFでは、対照群、RSV投与群、OVA投与群に比べ、OVA/RSV投与群でMIP-1αのみが有意に増加した。一方、血清では、対照群に比べ、OVA投与群でIL-5が有意に高く、OVA/RSV投与群でIL-17が有意に増加していた。また、IL-10は、対照群に比べRSV投与群で有意に高く、その亢進は、OVA投与群およびOVA/RSV投与群で有意に低下した。本研究における3年間の結果から、RSウイルス感染喘息マウスでは、MIP-1αなどを介して好酸球性炎症が惹起されること、IL-10は、その病態に抑制性に働く可能性が示唆された。
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