研究課題/領域番号 |
15K09668
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
山西 愼吾 日本医科大学, 医学部, 助教 (00465337)
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研究分担者 |
Ruby Pawankar 日本医科大学, 医学部, 教授 (00287674)
田辺 雄次郎 日本医科大学, 医学部, 助教 (00643818)
尾崎 優介 日本医科大学, 医学部, 助教 (60740561)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 粘膜自然リンパ球の評価方法の確立 / 粘膜評価方法の確立 |
研究実績の概要 |
本研究の目的の1つは申請者がこれまで明らかにしてきた乳幼児早期の抗生剤投与による粘膜の変化の評価を消化管と肺で同時に行い、臓器間の関連性を検討することである。粘膜の評価方法としてはH&E染色などによる組織評価、組織由来のRNAを用いた遺伝子発現解析による評価、更に粘膜免疫に関しては自然リンパ球に焦点を当て、その構成変化での評価としている。平成27年度の予定としては、組織評価方法の確立、組織からのRNA抽出方法の確立、消化管および肺からリンパ球抽出方法の確立、そして抽出したリンパ球中の自然リンパ球の評価を確立することである。このうち、組織評価のプロトコル、および組織からのRNA抽出のプロトコル、消化管からのリンパ球抽出のプロトコルは確立し、粘膜リンパ球中の自然リンパ球を評価するためのフローサイトメトリー解析の方法も確立することが出来た。現在は肺からリンパ球抽出のプロトコルの確立を急いでいる。本研究の初年度の目標は研究を進めるうえで基盤となる実験プロトコルを確立することであり大変重要な部分であるが、その目標は大半は達成できたと考えている。しかし、当初の予定よりは若干の遅れている状況である。遺伝子発現解析に関しては当初qPCRによるターゲット遺伝子の発現解析を予定していたが、より簡便にマルチターゲットで解析できるnCounter systemの所属施設での導入申請を行い採択された。このことは今後の解析が簡便に行うことが可能になり、より迅速に研究を進められる体制作りが出来たと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
消化管からのリンパ球抽出に関しては申請者が以前使用していたコラゲナーゼが国内では手に入れることが難しく、新たなコラゲナーゼを用いたコラゲナーゼ処理時間を確立するまでに想定外の時間を要した。肺からの粘膜リンパ球の抽出の経験はなく、Changらの論文のメソッドを参考にしながらプロトコルの確立を目指しているが、抽出できるリンパ球数が少なくプロトコルを改良しながらプロトコルの確立を目指している状況である。粘膜評価の基盤となる実験のプロトコルの確立に予定より時間を要しているため現状はやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は早急に肺からの粘膜リンパ球抽出のプロトコルの確立を急ぎ、そのうえで抗生剤投与による粘膜の変化、アレルゲン負荷による粘膜の変化、抗生剤暴露時のプロバイオティクス/プレバイオティクス投与による粘膜の変化の検討を行う予定である。昨年度に所属施設で組織や病理標本から抽出したRNAを用いて直接定量解析できるnCounter systemを導入することができたため、遺伝子発現解析に関しては抽出したRNAを用いてダイレクトにターゲット遺伝子に関してキットを用いて一度に同時に群間の比較をすることが可能となった。このことは現状の遅れを取り戻すことが十分可能になるばかりでなく、高い精度で群間比較を行えるのではないかと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
粘膜評価のプロトコル確立のための実験においては所属施設の他の研究者の実験で不要となったマウスを用いたため今年度は本研究の目的にマウスを新規に購入する必要がなかった。また、今年度は群間比較の実験を行わなかったため予定した腸内細菌解析も施行しなかった。所属施設で新規に遺伝子発現解析を目的としたnCounter systemの導入の可能性があったため、同設備を用いての解析に用いるキットが高額のため平成27年度の支出を制限する必要があった。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度は予定より遅れている抗生剤暴露の有無による群間比較するマウス実験を行うためマウスの購入費が予定より多くなる可能性があり、また新設備での遺伝子発現解析に必要なキットを購入する必要があり、繰り越し金は当てる予定である。
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