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2016 年度 実施状況報告書

マルチカラーフローサイトメトリーを用いた食物アレルギーの発症および治癒機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K09669
研究機関藤田保健衛生大学

研究代表者

柘植 郁哉  藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00231431)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード食物アレルギー / 経口免疫療法 / 抗IgE抗体 / フローサイトメトリー
研究実績の概要

本研究では、食物アレルギーの経口免疫療法(OIT)実施中の患者を対象に、食物アレルギーの発症と耐性獲得の免疫学的機序について検討する。
本年度は、牛乳の経口負荷試験での陽性閾値が3ml以下の重症牛乳アレルギー患者を対象として、抗IgE抗体併用により、牛乳経口免疫療法の効果や安全性がいかに改善するかを検討する臨床研究の参加者を対象に、好塩基球活性化試験(BAT)等の免疫学的パラメータの推移を解析する。
第1例は、研究開始直前の負荷試験では、積算1.5mlで陽性となった。この時のプリックテスト(SPT)は5x6mm、牛乳特異的IgE(sIgE)1.14 UA/ml、BAT(CD203c)71.8% であった。OITの開始日急速増量では、20mlまで摂取した段階で陽性となり、翌日12mlより緩徐増量を開始した。開始直前のパラメーターは、SPTが14x6mm、牛乳sIgE 6.20UA/ml、BAT3.2%、翌日は、SPT 8x4mm、牛乳sIgE 6.38UA/ml、BAT 9.1% であり、BATの陰性化が顕著であった。免疫療法開始後4ヵ月で牛乳100mlの維持量に達した時点では、SPTは12x3mm、牛乳 sIgE6.45UA/ml、BAT 9.4%であった。
第2例は直前の負荷試験で、積算2.1mlで陽性であった。この時のSPTは7ⅹ14mm、牛乳sIgE47.1 UA/ml、BAT 74.7%であった。OITの開始日は、積算22 mlまで摂取した段階で皮膚症状陽性となり、翌日10mlより緩徐増量を開始した。開始直前は、SPTは24x10mm、牛乳sIgE 110UA/ml、BAT 89.0%で,翌日はSPTが10x3mm、牛乳sIgE125UA/ml、BAT87.6%であり、緩徐増量を継続中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の対象は、①食物アレルギー患者、②食物アレルギーが自然治癒した患者、③OTT臨床研究参加者および、①食物アレルギーのない対照であり、実際には、OITの臨床研究参加者の占める割合が人きい。これまで行ってきた、低アレルゲン化ミルクを用いた経口免疫療法が昨年度で終了し、現在「抗IgE抗体療法併用による牛乳アレルギーに対する急速増量経口免疫療法の有効性と安全性の改善効果を検討するためのパイロットスタディー」が進行中であるが、エントリー基準に合致する研究参加者の獲得に苦慮しており、並行して、牛乳以外の食品を用いた経口免疫療法施行中の患者を対象とする検討も行っている。
また、multicolor flow cytometryによる解析も、アレルゲン特異的Th2細胞(CD4+CD154+TIL-4+)、Treg細胞(CD4+CD25+FoxP3+)、Tr1(CD4+CD154+IL-10+)、TLC2細胞(Lineage-CRTH2+)、好塩基球(SSCLowCD3-CRTH2+)についてはデータが蓄積されっつあるが、技術的に問題があり、Breg細胞(allergen+IgG+IgE-IL-10+)の解析は進んでいない。

今後の研究の推進方策

上述したように本研究の対象者は主として食物アレルギーの経口免疫療法に関する臨床研究の参加者であるため、本研究の遂行には経口免疫療法の順調な進行が不可欠であるが、これまで行ってきた低アレルゲン化ミルクを用いた経口免疫療法が昨年度で終了し、新たな臨床研究「抗IgE抗体療法併用による牛乳アレルギーに対する急速増量経口免疫療法の有効性と安全吐の改善効果を検討するためのパイロットスタディー」の参加者が十分に得られていない。これに関しては、さらに研究参加を促す広報活動に努力するとともに、他の免疫療法臨床研究参加者の解析も進めている。
また、multicolor flow cytometryによる解析についても、現在進行中のアレルゲン特異的Th2細胞(CD4+CD154+IL-4+)、Treg細胞(CD4+CD25+FoxP3+)、Tr1(CD4+CD154+IL-10+)、TLC2細胞(Lineage-CRTH2+)、好塩基球(SSClowCD3-CRTH2+)に加え、当初の計画に含まれたBreg細胞(allergen+IgG+IgE-IL-10+)の解析を進めるとともに、アレルギー制御に重要とされるinducible Treg (iTreg; CD4+、CD154-、LAP+)についても検討してゆく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Effect of Japanese cedar-specific sublingual immunotherapy on allergen-specific TH2 cell counts in blood.2016

    • 著者名/発表者名
      Nomura T, Suzuki M, Yokota M, Nakamura Y, Ozeki K, Ito Y, Tsuge I, Saitoh S.
    • 雑誌名

      Ann Allergy Asthma Immunol.

      巻: 117 ページ: 72-78

    • DOI

      10.1016/j.anai.2016.04.003.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] IgE-dependent mechanism and successful desensitization of erythritol allergy.2016

    • 著者名/発表者名
      Sugiura S, Kondo Y, Tsuge I, Nakagawa T, Kando N, Ito K, Koyama N.
    • 雑誌名

      Ann Allergy Asthma Immunol.

      巻: 117 ページ: 320-321

    • DOI

      10.1016/j.anai.2016.06.019.

    • 査読あり
  • [学会発表] 食物アレルギー難治症例に対する治癒を目指した取り組み 小児牛乳アレルギー児の経口免疫療法における抗原特異的T細胞の解析2016

    • 著者名/発表者名
      山脇 一夫, 柘植 郁哉, 森 雄司, 犬尾 千聡, 野村 孝泰, 田中 健一, 鈴木 聖子, 中島 陽一, 近藤 康人, 宇理須 厚雄
    • 学会等名
      日本アレルギー学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-06-17 – 2016-06-19

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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