研究実績の概要 |
慢性肉芽腫症(CGD)は、好中球・好酸球や単球における殺菌能が低下し、小児期から致死的な細菌及び真菌感染を繰り返す疾患である。申請者らはこれまでNADPHoxidaseの中心酵素であるgp91phoxの解析を進めてきた。特に転写調節から翻訳への過程を明らかにすることにより、CGDの病因の解明や治療法の開発に努めてきた。これはgp91phoxに限らず、他のタンパク質の発現機構や生命現象の解明にも応用されるものと考える。Gp91phoxの発現に関しては、プロモーター異常型CGD (Kuribayashi et al., BBRC 1995)を世界で最初に発見したことを機に解析を進め、これまでにヒストンのアセチル化に関与するGCN5によるgp91phox発現の調節機構を明らかにしてきた(Kikuchi H, Kuribayashi et al., J Immunol 2011)。本申請課題に頂いた科学研究費等にて、CGDの多くの患者で欠損しているNADPHoxidase構成タンパク質であるgp91phoxの解析を行ってきた(Microbiol Immunol 2018)。この他、活性酸素産生タンパク質であるNADPHoxidaseの発現誘導の研究を行い、ビタミンAによる機構を明らかにした(BBRC 2018)。CGDの治療にはタンパク質の発現の有無を確認する抗体の存在が欠かせないが、生きた細胞に結合できる抗体は申請者らが使用している抗体(7D5)以外にはなく、この抗原部位がCGD診断にとって重要であるが、これまで分っていなかった。特に本申請課題ではタンパク質の基になるmRNAの除去機構の解析なので、mRNAにコードされるタンパク質部分と7D5の結合の有無の確認は必要である。そこで申請者等は独自のNADPHoxidase発現系を構築して7D5の抗原を決定した。
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