研究実績の概要 |
経鼻下咽頭吸引または気管切開口からの吸引にて良質な喀痰(前者ではGeckler分類4,5、後者ではGeckler分類4,5,6)が得られた小児の入院肺炎患者32人 (年齢中央値 4.6歳) を対象とした。喀痰の塗抹にて貪食像を認め、かつ培養にて対応する細菌が分離されて起炎菌が同定された患者を細菌性肺炎群に、同定されなかった患者を非細菌性肺炎群に分類し、入院時の全血および血清・血漿を用いて白血球数、好中球数、CRP、プロカルシトニン、プレセプシン、単球および好中球のCD64を測定し、2群間での比較を行った。細菌性肺炎群は17人(53%)、非細菌性肺炎群は15人(47%)であった。好中球および単球のCD64発現には両群で有意差を認めず、中央値はそれぞれ1,920 molecules/cell vs. 1,992 molecules/cell(p = 0.05)、1,787 molecules/cell vs. 1,775 molecules/cell(p = 0.98)であった。その他のバイオマーカーについても有意差を認めず、両群のそれぞれの中央値は、白血球数 14,100/μl vs. 14,100 /μl(p=0.34)、好中球数 9,939 /μl vs. 7,692 /μl(p=0.14)、CRP 3.75 mg/dl vs. 2.92 mg/dl(p=0.87)、プロカルシトニン 0.12 pg/ml vs. 0.4 pg/ml (p=0.46)、プレセプシン 271.8 ng/ml vs. 266.5 ng/ml(p=0.23)であった。これらの結果から、細菌性肺炎と非細菌性肺炎の鑑別に単球および好中球のCD64、白血球数、CRP、プロカルシトニン、プレセプシンは有用でない可能性が示唆された。
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