研究課題
Baboon Envelopeの細胞内ドメインをマウス白血病ウイルスに置き換えたBaEVTRは、細胞毒性を示さずにレンチウイルス(LV)をパッケージングでき、さらにこのウイルスは造血幹細胞に対して高い感染性を示す。造血幹細胞遺伝子治療に特化したLVベクターのパッケージング細胞の作製を目指して、以下の実験を実施した。まず、LVの構成遺伝子(gag-pol、rev)をもつAAVベクタープラスミドを作成し、293T細胞に対してAAV-rep78発現ベクターとともにトランスフェクションシすることでAAVS1サイトへの組み込みを行った。さらに、SIN-レトロウイルスベクターによってBaEVTRを導入することで293T-gpr-BaEV細胞を樹立した。この細胞により作製したLVはCD34陽性造血幹細胞において高い遺伝子導入効率を示した。一方で、徐々にウイルス力価の低下が認められたため、293T-gpr-BaEVにおけるウイルス構成遺伝子の存在をPCRによって調べたところ、gag-pol-rev、BaEVTRとも存在を認め、さらにRT-PCRでも各構成遺伝子の発現を認めた。次に、この細胞にVSV-GとEGFP-LVベクタープラスミドを導入し、Hela細胞に感染させたところEGFPの発現を認めたことから、必要なレベルのgag-pol-revの発現はあると考えられた。さらに、BaEVプラスミドとEGFP-LVベクタープラスミドをトランスフェクションしたところ、CD34陽性細胞に対して十分な感染力を認めた。BaEVの追加導入によって、十分なウイルス粒子の産生が認められることから、作製した293T-gpr-BaEVにおけるBaEVの発現が弱いことが判明した。現在、より強いBaEVの発現も目標に、プロモーターの変更や導入コピー数の増加を行なっている。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)
Pediatr Blood Cancer
巻: 65 ページ: e26959
10.1002/pbc.26959
J. Clin. Immunol.
巻: 37 ページ: 741-743
10.1007/s10875-017-044-3
Mol. Ther. Methods. Clin. Dev
巻: 6 ページ: 8-16
10.1016/j.omtm.2017.05.005
巻: 37 ページ: 347-350
10.1007/s10875-017-0393-7
Pediatr Blood Cancer.
巻: - ページ: -
10.1002/pbc.26496