慢性肉芽腫症(CGD)では活性酸素種(ROS)が産生されず、感染症や慢性炎症をきたす。今回、gp91phoxの新たな変異型について検討したところ、mRNAの不安定性からgp91phox発現が低下したが、健常者の8割程度のROS産生能が残存した。しかし、本患者はCGD患者に類似した臨床像を呈した。X連鎖CGD保因者と異なり、全ての好中球でROS産生がわずかに低下しても、CGD症状を示すことが示唆された。CGD遺伝子治療では、長期的に高い遺伝子導入効率を維持することは期待できないが、遺伝子導入細胞は正常レベルのROSを産生するため、遺伝子治療はCGDの病態を改善する可能性がある。
|