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2016 年度 実施状況報告書

DNA損傷修復因子を用いた小児がん治療関連合併症のバイオマーカー確立と診断応用

研究課題

研究課題/領域番号 15K09678
研究機関独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター)

研究代表者

服部 浩佳  独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), その他部局等, 室長 (20624513)

研究分担者 堀部 敬三  独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), その他部局等, 臨床研究センター長 (30209308)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードDNA損傷 / gammaH2AX / etoposide
研究実績の概要

小児がん患者の長期生存率は飛躍的に改善したが、その一方で強化された抗がん剤治療による正常臓器に対する毒性の増強のために、種々の合併症は増加する傾向にある。そこで抗がん剤治療を受けている小児がん患者のDNA損傷修復能を評価することにより、小児がんにおける治療関連合併症の早期診断を行う解析系の確立を目標とした。まず最初に行う研究としては、末梢血リンパ球におけるgammaH2AXの検出系の確立を第一の目標とした。前年度の研究結果から、gammaH2AXの免疫染色に関して全血のまま検出する解析系の樹立を目指したが、解析に必要なLinearityが得られなかった。
そこで、本研究の当初の視点にたち帰り、最終的に、小児がんの治療成績の向上につながる基礎的あるいは臨床的なバイオマーカーを見出すといった、やや広い視点の目的に変更した。従ってもし、治療関連合併症のバイオマーカーの樹立が困難である場合には、合併症だけでなく、治療効果そのものに関連するバイオマーカーの発見・樹立も視野に入れて研究を推進していきたいと考えている。方法は大きく三つあり、一つはgammaH2AXが小児急性リンパ性白血病で用いられる抗がん剤の感受性のバイオマーカーとなり得るかの検討、二つ目は小児固形腫瘍の腫瘍検体を用いてゲノム解析を行い、小児がん患者の合併症や予後に関するバイオマーカーの検出、そして三つ目は家族性腫瘍等のがん易発症素因をもつ患者を対象にし、生殖細胞系列にDNA損傷修復遺伝子の変異を持つことが小児がん治療関連合併症のリスクとなり得るかの検討を行っていく計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は初年度に引き続き、細胞株およびヒト末梢血白血球を使用してgammaH2AXの検出系の樹立を遂行した。対象が小児患者であるため、採血量を減量し最小限の侵襲で検体を採取するために、臨床検査に使用された残余検体を用いる解析系を樹立する計画であった。しかし、ヒト血液検体を常温にて数時間~10時間経過することで分離した単核球の質の低下、gammaH2AXの染色の不安定化が初年度の解析の結果明らかとなったため、この克服が本年度の課題であった。ヒト末梢血単核球の分離方法として、Ficollを用いる方法、赤血球溶血し洗浄する方法を含め種々の方法を検討したが、いずれも本解析系におけるgammaH2AXの染色の精度を上げることが困難であった。

今後の研究の推進方策

本研究は小児がん治療関連合併症のバイオマーカーを樹立することが当初の目的であり、最終的には小児がんの治療成績の向上につなげることが最も重要である。従ってもし、治療関連合併症のバイオマーカーの樹立が困難である場合には、合併症だけでなく、治療効果そのものに関連するバイオマーカーの発見・樹立も視野に入れて研究を推進していきたいと考えている。方法は大きく三つあり、一つは我々の研究室で既に樹立したIKZF1変異ヒト白血病細胞株を用いて、gammaH2AXが小児急性リンパ性白血病で良く用いられる抗がん剤であるetoposide等の感受性のバイオマーカーとなり得るかの、やや基礎的な検討を行うと言ったものである。二つ目は小児固形腫瘍の腫瘍検体を用いてゲノム解析を行い、小児がん患者の合併症や予後に関するバイオマーカーの検出であり、これについては臨床腫瘍検体のゲノム解析を行うための当院の臨床研究審査委員会および共同研究機関の倫理審査委員会の承認を得た。三つ目は家族性腫瘍等のがん易発症素因をもつ患者を対象にし、治療関連合併症が起きやすいか否かを検討することである。家族性腫瘍の原因遺伝子はそのほとんどがDNA損傷修復に関わる遺伝子であり、生殖細胞系列にそれらの変異を持つことが家族性腫瘍の特徴である。これに関してはまず臨床検査値が家族性腫瘍の患者はそうでない患者と比べて違いがあったかどうかを後方視的に検討するところから始めたい。

次年度使用額が生じた理由

gammaH2AXの解析系の精度の向上などの基礎的な検討を行っていた。実験の多くは既に購入した試薬を用いて再現性を確認するものが多かった。そのために多数の臨床検体の解析に至らなかったために、抗体等の比較的高価な試薬の購入が少なかったことが挙げられる。

次年度使用額の使用計画

次年度は3つの大きな方針のもとに、ゲノム解析のための臨床検体からのゲノムDNA抽出し薬や、ホルマリン固定検体からのDNA抽出試薬、次世代シーケンサーのためのサンプル調整試薬、および家族性腫瘍患者の後方視的解析のための臨床情報解析のための経費を必要としている。これらの経費のために次年度使用額を活用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ①当院の小児固形腫瘍患者における家族性腫瘍症候群とその対応について2016

    • 著者名/発表者名
      服部浩佳
    • 学会等名
      第22回日本家族性腫瘍学会学術集会
    • 発表場所
      愛媛
    • 年月日
      2016-06-03 – 2016-06-04

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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