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2015 年度 実施状況報告書

胸部大動脈瘤破裂をきたす遺伝性疾患治療を目指した血管平滑筋細胞分化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K09683
研究機関東京大学

研究代表者

鈴木 信周  東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (90247007)

研究分担者 川村 猛  東京大学, アイソトープ総合センター, 准教授 (70306835)
小笹 徹  東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任教授 (70202059) [辞退]
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード平滑筋細胞分化 / Rho / G12 / TGFβ
研究実績の概要

低分子量G蛋白Rhoは血管平滑筋細胞(SMC)分化・ 増殖の調節において重要な役割を果たすと考えられている。本研究の目的は、Rho活性化の強力なドライバーである三量体G蛋白、G12/13~ RH-RhoGEF(guanine nucleotide exchange factor containing RGS (regulator of G protein signaling)-homology domain: RHドメインを有するRho活性化因子、Leukemia-associated RhoGEF(LARG)、PDZ-RhoGEF、p115RhoGEFの三種)活性化機構に注目して、SMC分化・ 増殖促進の際に作動するシグナル経路を同定し、遺伝性大動脈瘤治療の基盤を作ることにある。
本年度は主に、マウス中胚葉由来多能性細胞10T1/2 をtransforming growth factor β (TGFβ)で分化させ、独自に開発したGα12とGα13に対する高感度特異的モノクローナル抗体を用いて、経時的にショットガンプロテオミクスを行うことで、SMC分化促進に重要なシグナルを同定することを試みた。その結果、今まで生理機能的差異が不明であった、Gα12とGα13が、分化の過程で全く違った複合蛋白を構成し、シグナルを伝達して行く事が解ってきた。更に、三量体G蛋白のリン酸化が、分化促進において重要な役割を果たしていることも明らかになってきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

10T1/2 をTGFβで分化させる系を、Gα12とGα13抗体を用いて経時的にショットガンプロテオミクスを行い比較することで、SMC分化に重要なシグナルが見えてきた。当初SMC分化で作動すると予想されたRH-RhoGEFの中から、SMC分化促進に重要なものが同意できた。更に他のRhoGEFが作動することも確認できた。一方で、SMC分化促進に重要なG蛋白のリン酸化部位も同定できた。この結果は予想外であったが、現在まで私達が蓄積してきたデータと照らし合わせると、このリン酸化によってシグナル活性が促進されることが想定された。本結果は、Rho活性化調節の新しいメカニズムの可能性を示唆し、研究に新しい展開をもたらしている。尚、当初予定していたGαq抗体によるショットガンプロテオミクスは行なっていない。

今後の研究の推進方策

10T1/2細胞をTGFβでSMCに分化させる系を用いて、分化の際に形成されるSmad1/2複合体蛋白をショットガンプロテオミクスで経時的に追跡して、活性化シグナル経路を同定していく予定である。実際に、TGFβによる10T1/2細胞からSMC分化の系で、TGFβによるcanonical pathway(Smad)、non-canonical pathway(Rho、ERK)活性化を測定、解析する。大動脈瘤形成・治療のモデルとして、TGFβ過剰投与、ARB投与を行い、上記シグナルの変化を理解し、治療の標的分子を決定していく。H27年度に同定された分化に関与するG12、G13シグナルの標的分子をsiRNAによってノックダウンする事で、Rhoの活性やSMC分化にどの様な影響がでるかを探る。更にG蛋白質のリン酸化が、Rho活性をどの様に調節するのか、蛋白再構築系や細胞の系でメカニズムを探る。リン酸化G蛋白を疑似する変異体を作製し10T1/2細胞に強制発現して、SMC分化に対する影響を調べる。

次年度使用額が生じた理由

当初の予想には反して、SMC分化過程で、G蛋白質のリン酸化が作動することが明らかになり、本年度はその部位の同定に集中した。そのため、当初予想して申請したRH-RhoGEFリン酸化に関する蛋白再構成実験は行わなかった。しかし、次年度に、G蛋白リン酸化によるシグナル活性化メカニズムを解析するための蛋白再構成実験をする必要が生じた。このため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

繰越金は、Sf9-baculo virusの系を用いた蛋白調製のために使用される。変異体蛋白質精製のためのバキュロウイルス作製、細胞維持のための費用等に使用される。蛋白再構築系実験において、リン酸化実験やRhoA活性化解析のためのアイソトープ購入のための費用に使用される。また、H27年度研究の結果、新たに同定された、分化促進に重要なG12、G13シグナル標的分子のsiRNA実験の費用として使用される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [国際共同研究] Thomas Jefferson University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Thomas Jefferson University
  • [雑誌論文] Mitotic-dependent phosphorylation of leukemia-associated RhoGEF (LARG) by Cdk12015

    • 著者名/発表者名
      Helms, M. C. Grabocka, E. Martz, M. K. Fischer, C. C. Suzuki, N. Wedegaertner, P. B.
    • 雑誌名

      Cell Signal

      巻: 28 ページ: 43-52

    • DOI

      10.1016/j.cellsig.2015.10.004

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-24  

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