研究課題/領域番号 |
15K09686
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
廣野 恵一 富山大学, 附属病院, 助教 (80456384)
|
研究分担者 |
高崎 一朗 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 准教授 (00397176)
山本 誠士 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10456361)
伊吹 圭二郎 富山大学, 附属病院, 助教 (20566096) [辞退]
市田 蕗子 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (30223100)
小澤 綾佳 富山大学, 附属病院, 診療助手 (40596540)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 川崎病 |
研究実績の概要 |
【方法】当院及び当院関連施設での川崎病50例、コントロール(有熱者25例及び健常人25例)の計100例でEMPsを検討した。川崎病患者のIVIG治療前、治療後、治療後数週間の血清からEMPsを測定しコントロール群と比較した。さらに、CAL症例におけるmiRをマイクロアレイを用いて解析し、血管炎と関連があると予測されたmiRをTHP-1細胞に遺伝子導入し、炎症性サイトカインの発現を測定した。 次に、川崎病患者で、IVIG反応良好群・反応不応群・健常コントロールの単球を抽出し、CAGE(Cap Analysis of Gene Expression)法を用いて、lncRNAの発現を解析した。 【結果】川崎病急性期におけるEMPsの95%信頼区間は1.77±0.20%であり、有熱者(0.12±0.04%)及び健常人(0.10±0.03%)に対して有意に上昇を認めた(p<0.001)。さらにマイクロアレイとin siloco解析により、2つのmiRが血管炎に重要であると考えら、それらを遺伝子導入したTHP-1細胞ではIL-6,TNF-αの発現は上昇していた。また、IVIG反応群と不応群を比較し、不応群に特異的に発現しているlncRNAを18個抽出した。 【総括】①EMPsの測定は冠動脈瘤形成傾向のある症例を予測することができるのではないかと考えた。②急性期の川崎病において、2つのmiRがサイトカインの発現に重要であることを予測した。③川崎病患者の単球で、炎症とlncRNAの発現との関連を報告する論文は既報がない。川崎病急性期に特異的に発現しているlncRNAを解析することで病態把握や新たな治療戦略に繋がると考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの結果から、①EMPsの測定は冠動脈瘤形成傾向のある症例を予測することができるのではないかと考えた。②急性期の川崎病において、2つのmiRがサイトカインの発現に重要であることを示すことができたため。しかし、miRとlncRNAとの関連性が十分に立証れていないため、やや遅れていると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
lncRNAが炎症免疫反応を調整していることが示唆されており、自然免疫の関与する川崎病においてもlncRNAは重症な役割を担っていると考えられる。自然免疫に関する炎症性サイトカインとlncRNAの関連を示した論文は散見される一方、川崎病についてlncRNAを検討した報告は認めていない。我々のこれまでの研究で、川崎病の炎症のプロセスに単球が重要な役割を担っていると考えられた。また川崎病において、IVIG反応不応例がCAL形成に移行するケースが多いことから、今回急性期のIVIG不応例の単球に含まれるRNAを抽出した。急性期の不応例において、特異的に発現していたlncRNAとmRNAを解析した。今後はこれらのlncRNAとmRNAをTHP-1細胞に導入し、炎症性サイトカインの発現を確認するなど、関連や機能を解析をしていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
血管微小粒子とmiRNAの関連性は示すことができたが、lncRNAとの関連性を検証するための機能解析の前段階として、遺伝子発現の網羅的解析を現在行っているため、残金370,873円が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
lncRNAが炎症免疫反応を調整していることが示唆されており、自然免疫の関与する川崎病においてもlncRNAは重症な役割を担っていると考えられる。自然免疫に関する炎症性サイトカインとlncRNAの関連を示した論文は散見される一方、川崎病についてlncRNAを検討した報告は認めていない。我々のこれまでの研究で、川崎病の炎症のプロセスに単球が重要な役割を担っていると考えられた。また川崎病において、IVIG反応不応例がCAL形成に移行するケースが多いことから、今回急性期のIVIG不応例の単球に含まれるRNAを抽出した。急性期の不応例において、特異的に発現していたlncRNAとmRNAを解析した。今後はこれらのlncRNAとmRNAをTHP-1細胞に導入し、炎症性サイトカインの発現を確認するなど関連や機能を細胞実験で解析をしていく予定である。細胞実験の培養試薬と消耗品に使用予定である。
|