今後の研究の推進方策 |
本年度の検討で、EGF治療モデルの評価においては、高濃度酸素負荷期間は14日間で行うことが最適であると考えられた。しかしながら、EGF治療群の効果は、高濃度酸素群と比較して、改善傾向はあるものの、有意差が得られておらず、コントロール群、高濃度酸素投与群(EGF非治療群)、EGF治療群のそれぞれの個体数をもう少し増やしたうえで、改めて、肺胞数を含めたmorphometryと肺高血圧、右室肥大の評価を行い、効果を確認する予定である。また、3群におけるVEGFR2, FGFR, VEGF, MMP14, EGFRなどの肺胞増殖関連因子の発現解析もリアルタイムPCRにて行って3群間で比較する予定である。また、EGF投与群とEGF非治療群において、14日間の高濃度酸素投与を行った後に、肺高血圧治療薬のシルデナフィルをそれぞれに投与して、ラット新生仔高酸素負荷慢性肺疾患モデルに対するEGF,シルデナフィル併用療法の治療効果を、上述のように肺胞数を含めたmorphometryと肺高血圧、右室肥大の評価を行い、確認する予定である。慢性肺疾患においては炎症も病変形成に関与することが報告されているため、各群の血中IL1, IL6, TNFαの測定および肺組織におけるリン酸化p65 subunitの免疫染色で各群における病変への炎症の関与を検討する予定である。なお、上記のようにEGF,シルデナフィル併用群において、高濃度酸素負荷終了後のシルデナフィル投与で効果が不十分な場合が想定され、その場合は高濃度酸素負荷開始すなわちEGF投与開始と同時にシルデナフィルも投与を開始することで、より早期の治療の有効性を検討する予定である。
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