研究課題/領域番号 |
15K09688
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
三谷 義英 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (60273380)
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研究分担者 |
田中 利男 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00135443)
丸山 一男 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20181828)
西村 有平 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30303720)
澤田 博文 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30362354)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺高血圧 / エンドセリン / 血管生物学 |
研究実績の概要 |
肺動脈性肺高血圧(PAH)は、特発性ないし先天性心疾患、膠原病などに二次性に発症する難治性疾患で、新たな治療法開発には更なる病態解明が重要である。最近、ヒトPAH類似の特徴的な組織病変を有する動物モデルが開発され、病変の進展、退縮における血管平滑筋の形質転換と炎症細胞の関連を報告してきた。そこで本モデルの網羅的遺伝子発現プロファイルからの炎症関連因子の同定、局在性の評価と培養平滑筋細胞の形質転換モデルでの細胞生物学的評価を行い、in vivoでの病変の進展、退縮効果と分子細胞機序を解明し、肺高血圧の新たな治療標的を見いだす事が本研究の全体構想である。そこで本モデル肺で発現亢進し、Macitentanで抑制する遺伝子の網羅的遺伝子解析を行った所、興味ある事に炎症、細胞分化関連因子遺伝子発現の有意変化(52 genes)を認めた。その中で、炎症と細胞の未分化維持に関わり得るMCP-1の病変での発現を確認し、他の因子も含めて検討した。 目的:エンドセリン受容体拮抗薬macitentanと別に候補薬剤を選定したMCP1(CCL2)阻害剤(RS504393)を用いて、血行動態、組織病変抑制効果を検討し、炎症関連遺伝子プロファイル、血管平滑筋脱分化への影響を検討する。 研究実績:macitentanにより、肺高血圧、右室肥大、閉塞性肺血管病変はリバースし、炎症性因子、細胞分化関連因子が調節された。CCL2阻害剤の効果を検討したところ、病変のリバース効果、予防効果に関して、有意な結果を得なかった。そこで、それらを抑制する他の因子の遺伝子欠損動物を作成してその影響を見ることとした。現在、その因子の遺伝子欠損動物を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エンドセリン受容体拮抗薬macitentanにより、肺高血圧、右室肥大、閉塞性肺血管病変はリバースし、炎症性因子、細胞分化関連因子が調節された。CCL2阻害剤の効果を検討したところ、病変のリバース効果、予防効果に関して、有意な結果を得なかった。これは、薬剤が生体内で十分有効でない可能性があり、より有効な他の方法で検証する必要があると考えた。 そこで、それらを抑制する他の因子の遺伝子欠損動物を作成してその影響を見ることとした。現在、その因子の遺伝子欠損動物を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の学術的特徴は、新規ヒトPAHモデルを用いて、我々の先行研究で認めた血管平滑筋の脱分化、炎症反応に着目し、網羅的遺伝子解析の結果に基づいて、MCP1他の炎症、細胞分化に関わる遺伝子から治療標的の同定を試みる点である。さらに我々が従来検討してきた内皮機能、平滑筋の形質転換、炎症細胞、プロテアーゼに関わるPAHの機序の仮説と関連する点、ラットのin vivo評価系(遺伝子導入システム使用を含む)、網羅的発現解析、in silico解析を用いる点である。 今後の研究の推進方策: 1 炎症、細胞分化を制御する因子の遺伝子改変動物を作成し、肺動脈圧、右室肥大、肺血管病変への影響を検討する。 2 平滑筋の脱分化に着目し、それをノックイン動物の作成により直接検討する生体の系を確立し、肺高血圧モデルを作成し、肺動脈圧、右室肥大、肺血管病変への影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に用いる遺伝子改変動物を現在作成中であるが、その費用の支払いを次年度支払う事となった為。
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次年度使用額の使用計画 |
実験に用いる遺伝子改変動物を現在作成中であるが、その費用の支払いが次年度支払いする。
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