研究課題
1,日本人全患者における網羅的遺伝子解析:塩類喪失性尿細管機能異常症患者として、これまでに1型バーター症候群15例、2型バーター症候群5例、3型バーター症候群30例、ギッテルマン症候群患者145例において、遺伝学的に確定診断を行った。その一部のデータに関して報告を行った(Matsunoshita et al, Genet Med 2016. 松野下ら 日本腎臓学会 2015)。これまで海外からも例を見ない大規模なデータが蓄積されつつあり、今後、さらなる解析結果に関し論文報告を行う予定である。2,既知の遺伝子に変異を有しない患者群における次世代シークエンサーを用いた新規遺伝子の同定:これらの疾患の遺伝子診断においては、これまで従来の直接シークエンス法による解析を行ってきたが、今回次世代シークエンサーを用いたターゲットシークエンス法による解析の導入を行った。それにより、従来の方法では1件体当たり一つの遺伝子の解析に約4万円を要したのに対し、本解析方法により、1件体当たり2万5千円で本疾患関連遺伝子すべてを網羅的に解析することが可能となった。3.さらに次世代シークエンサーによる網羅的解析により、偽性バーター症候群を呈した遺伝性高カルシウム尿性低カルシウム血症の確定診断を行い、報告を行った(Kamiyoshi N et al. Clin Exp Nephrol)。その他、同じく偽性バーター症候群を呈する遺伝性クロル下痢症や嚢胞性線維症、遺伝性低マグネシウム血症、Dent病などの例の診断にも成功し、今後もさらなる報告を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
次世代シークエンサーによる遺伝子診断法の導入により、安価に効率よく診断を行うことが可能となった。また偽性バーター症候群を発症する疾患を次々と明らかとすることに成功している。それにより、本疾患における新しい知見をさらに明らかとすることが可能である。
今回偽性バーター症候群を呈するあらゆる疾患を見いだすことに成功したため、それらの疾患が本病態と類似する病態を呈する原因につき、基礎研究を含めて見いだす予定である。さらに、かつてない大規模データが集まりつつあり、これらを論文報告することにより本疾患の認知度を高めることによりさらなるデータの集積を行う予定である。
すべて 2016 2015
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Genetics in Medicine
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