研究課題
今年度、さらに検体数を増やすべく、非侵襲的に採取できる尿を用いることとした。当科で定期的に外来管理している患者は、早朝尿10 mlをスピッツに入れて受診する。その一部からmicro RNAを抽出することに成功した。最終的に、2017年4月から6月にかけて、当科を定期受診した患者50人の尿からmicro RNAを抽出した。患者の内訳は、びまん性IgA腎症が5人、巣状IgA腎症が14人だった。対象として、尿の異常所見が見られない間欠的水腎症患者など5人を選んだ。マイクロアレイの結果や、他分野で報告されているmicro RNAを考慮し、今回、hsa-miR-491-3p、及び、hsa-miR-4732-5pの2つのmicro RNAの発現を検討した。結果、miR-491-3pは、びまん性IgA腎症患者5人のうち2人で、巣状IgA腎症患者14人のうち6人で、対象患者5人のうち1人で、発現が感度以下であった。miR-4732-5pは、全患者で発現が見られた。miR-491-3pは、マイクロアレイでは、びまん性IgA腎症より健常腎で4倍以上の発現が見られた。尿のmicro RNAの結果でもその傾向が見られた。miR-4732-5pは、マイクロアレイでは、微小糸球体変化と比べ、びまん性IgA腎症、および、正常コントロールでその発現が5倍以上上昇していた。しかし、尿のmicro RNAの結果では、びまん性IgA腎症で発現が低下しており、巣状IgA腎症と対象で上昇傾向が見られた。今後、検体数を増やして検討していく価値はあると思われる。初期重症度や薬剤による反応性も考慮した上で、micro RNAの発現を調べることができると興味深い。micro RNAは、非侵襲的に予後を予測するバイオマーカーとして利用できる可能性がある。
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