研究課題/領域番号 |
15K09697
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
南 孝臣 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60423951)
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研究分担者 |
佐藤 智幸 自治医科大学, 医学部, 講師 (20567995)
森本 哲 自治医科大学, 医学部, 教授 (30326227)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 川崎病 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
申請者らは、川崎病の難治例(免疫グロプリン大量静注療法(IVIG)不応例)において血小板活性化因子(PAF)が関与する可能性を明らかにした。川崎病急性期には、末梢血T細胞が活性化しており、転写因子である活性化T細胞核内因子(NF-AT)のリン酸化により、T細胞やマクロファージなどの活性化に作用するインターロイキン2が誘導される。また、PAF の炎症反応経路には、NF-AT が存在しており、NF-ATを阻害するシクロスポリン(CsA)を川崎病のIVIG 不応患者に静注したところ、速やかに解熱し冠動脈後遺症もなかった。また、申請者らは、川崎病のIVIG 不応例に対するCsA 静注時に制御性T 細胞(Treg)が増加する可能性を報告しており、その機序が解明されれば、Treg 及びPAF 関連サイトカインをIVIG 不応性のバイオマーカーとする可能性が開ける。さらに、その患者にCsA を静注することで炎症反応を抑制でき、川崎病の飛躍的な予後改善が期待される。今後、川崎病IVIG 不応患者に対し、CsA 静注の前後、回復期で以下を検討する予定である。(①フローサイトメトリー(FACS):T 細胞 (CD3、CD4、CD8、4/8 比)、B 細胞(CD19) 、NK 細胞(CD56) 。制御性T 細胞、細胞障害性T 細胞、ELISA: 血清中のIL-1、IL-6、IL-8、IL-17、可溶性IL-2Rなど ②白血球数、好中球数、リンパ球数、CRP などの炎症性パラメータとCsA の反応性、③さらに川崎病の臨床所見、冠動脈病変の有無との関係)。初年度も、川崎病のIVIG不応患者にCsAの静注を施行しているが、速やかな解熱が得られ、冠動脈瘤の形成を認めていない。引き続き、検討をつづけ、患者検体・臨床データの収集を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に川崎病IVIG不応例に施行したCsA療法でも冠動脈瘤の形成なく、仮説を支持する形で速やかな解熱が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目以降は、引き続き患者検体、臨床データの収集を行うともに、集まった検体の測定、および集計を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
サイトカインなどの検体の測定を、検体数がまとまってから測定する方針としたので、試薬等の購入計画を次年度以降に繰り越しました。
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次年度使用額の使用計画 |
検体数がまとまったところで、測定キットを購入し、測定を行う予定である。
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