研究課題
本研究では出生前コホートを新規に立ち上げ、当施設にて分娩予定で、産後の調査も可能と判断された妊娠初期症例を対象に、必要な情報を収集しながら前方視的に追跡する体制を確立した。周産期外来における母体、胎児、新生児の診療情報収集はもとより、フードダイアリを用いた妊娠中の食事調査、成育歴調査、睡眠調査、妊娠初期・後期・産褥期のメンタルヘルス、ストレス調査を実施してデータを集積した。また妊娠初期・後期の母体血、臍帯血を収集し、エピゲノム解析を進めた。まず脂質代謝に関連する遺伝子に着目し、妊娠経過に伴う肥満形質変化と末梢血DNAメチル化状態の関係を調べた。その結果、妊娠中期ではDNAメチル化レベルがBMIや血中脂質レベルと関連していたが、後期になると、その関係性は続かないことを見出した。妊娠中には血中の白血球の種類も変化する。妊娠中の肥満関連遺伝子のDNAメチル化レベルは代謝だけでなく白血球の変化が大きく影響を及ぼすことを明らかにした。また妊娠中期の母体血中に存在する特定のエキソソームmicroRNA (exosomal miRNA)に着目し、周産期関連パラメータとの関係について検討した。その結果、胎児胎盤重量比(Fetal /placental weight ratio; F/P ratio)との間に有意な相関関係のある2種類のmiRNAがある結果を予備的に得た。F/P ratioは胎盤機能不全や周産期死亡との関連があるとされており、今後有用な周産期予後の予知マーカーとなる可能性が示唆された。
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Int J Mol Sci
巻: 20 ページ: 1-18
10.3390/ijms20051066
化学と生物
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http://www.tmd.ac.jp/ppepi/index.html