研究課題
ラット脳室周囲白損傷モデルにおいて、臍帯由来間葉系幹細胞およびその上清の効果を検討した。間葉系幹細胞投与において認めた白質損傷抑制作用を間葉系幹細胞培養上清では認めなかった。間葉系幹細胞培養の作用はパラクライン作用が大きいと考えられているため、治癒効果炎症が起きている体内に投与された間葉系幹細胞が放出するパラクライン因子が、vitroで培養された間葉系幹細胞が放出するパラクライン因子とプロファイルが異なるのではないかと考えた。LPS投与によるラット脳室周囲白損傷モデルでは血清中でIFNγが上昇することから、培養中の臍帯由来間葉系幹細胞にIFNγ刺激を行なったところ、間葉系幹細胞のプロファイルに変化が生じた。間葉系幹細胞のもつ強力な抗炎症作用として注目されているTSG6、IDOの発現が著明に増強した。IFNγで刺激した間葉系幹細胞の培養上清の白質損傷に対する効果を調べたところ、IFNγ刺激後の間葉系幹細胞の培養上清投与では白質量が増加しており、vivoにおいても治療効果を増強させる可能性が示唆された。臨床的にヒトにおいても子宮内感染症では、臍帯炎を認めることが多く、臍帯由来間葉系幹細胞のプロファイルにも影響を及ぼすことが予想される。ヒトにおける子宮内感染症における臍帯由来間葉系幹細胞のプロファイル変化を検討するため、東京医科歯科大学を主施設として都立多摩総合医療センター、川口市立医療センター、土浦協同病院にて倫理承認を得て、共同研究「子宮内環境による臍帯血および臍帯由来間葉系幹細胞のプロファイル変化の検討」を開始した。分娩後にそれぞれに施設で膀帯を冷蔵保存した後、組織保存液に包埋し凍結保存した。凍結した臍帯を主施設である東京医科歯科大学に集め、Explant法にて初代培養を行ない、凍結保存した早産児の聴帯から脾帯由来間葉系幹細胞の初代培養が可能であることを確認した。
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Neonatal Care
巻: 7 ページ: 685