研究課題
A. ヒト胎盤標本を用いた解析1)前年度に引き続きHCMV感染胎盤パラフィン包埋組織(FFPE)切片においてウイルス抗原及び各種細胞マーカーの発現を解析した。その結果、HCMV感染は絨毛毛細血管内皮・血管周囲細胞に認め、感染絨毛では、HCMV感染血管周囲細胞のDesminの過剰発現と血管消失が見られた。さらに、残存血管内皮細胞においても、絨毛血管内皮細胞特有の機能分子の1つであるFcγR II( CD32)の発現低下・消失が観察された。HCMV感染による胎盤機能低下には、血管周囲細胞への直接感染によるDesmin発現を伴った形質転換による血管消失に加え、残存血管内皮細胞の機能低下も関与していると考えられた。2)HCMV潜伏感染に必須なウイルス蛋白(latency-associated proteins; LAPs)に着目し、その1つに対する単クローン抗を作製し、妊娠後期胎盤FFPE標本を対象にして免疫染色による解析を行った。妊娠後期胎盤でHCMV増殖関連蛋白(UL123/UL44)陽性細胞を認めたのは、重篤な胎児感染を生じた1例のみで、陽性細胞は絨毛に局在し、その数は極僅かであった。一方、HCMV-LAP陽性細胞は弱陽性例も含むと6例で認められ、その局在はUL123/UL44と対照的で脱落膜に限局し、症例によっては羊膜にも認められた。これらの結果から、今回作製した抗HCMV-LAP抗体は、従来の抗HCMV抗体では感染を確認できなかった後期胎盤FFPE標本でもHCMVの潜伏感染動態を可視化し、より多くの知見をもたらすと考えられた。B. マウス感染胎盤の病理組織解析胎盤においてMCMV感染細胞は、主に胎仔側のlabyrinth zoneと羊膜上皮・上皮下の間質に認められ、母体側の基底脱落膜では極僅かであった。
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