研究課題/領域番号 |
15K09717
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
落合 正行 九州大学, 大学病院, 助教 (90507782)
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研究分担者 |
井上 普介 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90467902)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 新生児 / 周産期 / 早産児 / 呼吸器 |
研究実績の概要 |
新生児気管支肺異形成(Bronchopulmonary Dysplasia:BPD)の発症と重症化には、肺の未熟性、酸素毒性、容量圧損傷や炎症メディエーターによる生物学的損傷など多因子が関与する。本研究では多施設共同研究にて好中球ケモカインを中心にBPDの重症化因子を解析する。さらに解析結果を基に対象患者を層別化して、ケモカイン特異的なランダム化比較試験を展開する。重症化の評価は我々が開発した胸部CTスコアを利用する。また研究インフラは、「九大ハイリスク新生児臨床研究ネットワーク」が整備されている。多因子疾患であるBPDに対して、新生児個別の特性に応じた新たな治療戦略を目指す。 私たちは2005年1月より自施設に入院した早産児を対象に、出生時と日齢14、28の血清・血漿保存と血液検査データを蓄積し、BPD発症児には退院前に胸部CTを撮影した。2013年12月までの8年間にBPDを93例で発症し、研究同意に基づいて73例で胸部CTを撮影した。主要評価項目である胸部CTスコア、酸素投与日数、陽圧換気日数で互いに正の相関を認めた。単変量解析では、酸素投与と陽圧換気いずれに対しても、出生体重、在胎週数、日齢14と28の好中球数とCRPで有意な相関を認めた。重回帰解析では、酸素投与と陽圧換気いずれに対しての、日齢0では出生体重と好中球数、日齢14ではIL-8値とCRPで有意な因子が選択された。BPDの重症化には、出生時のみならず日齢14の好中球とその炎症メディエーターが関連することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記概要については英文原著で投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
上記概要結果を基に多施設共同研究に展開して、血清ロイコトルエンと血漿好中球エラスターゼと測定し、好中球数・CRP・IL-8とともにカットオフ値を設定してRCT治療対象群の層別化に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度以降に物品費を使用した研究計画、および論文作成予定があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
臨床サンプルを用いたバイオマーカーの測定、および測定キット等の使用予定あり。また論文掲載を控えており校正費用や掲載費を要する。
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