研究課題
新生児気管支肺異形成(Bronchopulmonary Dysplasia:BPD)の発症と重症化には、肺の未熟性、酸素毒性、容量圧損傷や炎症メディエーターによる生物学的損傷など多因子が関与する。本研究では多施設共同研究にて好中球ケモカインを中心にBPDの重症化因子を解析する。さらに解析結果を基に対象患者を層別化して、ケモカイン特異的なランダム化比較試験を展開する。重症化の評価は我々が開発した胸部CTスコアを利用する。また研究インフラは、「九大ハイリスク新生児臨床研究ネットワーク」が整備されている。多因子疾患であるBPDに対して、新生児個別の特性に応じた新たな治療戦略を目指す。私たちは、2005年1月より自施設に入院した早産児を対象に、出生時と日齢14、28の血清・血漿保存と血液検査データを蓄積し、BPD発症児には退院前に胸部CTを撮影した。2013年12月までの8年間にBPDを93例で発症し、研究同意に基づいて73例で胸部CTを撮影した。主要評価項目である胸部CTスコア、酸素投与日数、陽圧換気日数で互いに正の相関を認めた。単変量解析では、酸素投与と陽圧換気いずれに対しても、出生体重、在胎週数、日齢14と28の好中球数とCRPで有意な相関を認めた。重回帰解析では、酸素投与と陽圧換気いずれに対しての、日齢0では出生体重と好中球数、日齢14ではIL-8値とCRPで有意な因子が選択された。BPDの重症化には、出生時のみならず日齢14の好中球とその炎症メディエーターが関連することが確認された。
2: おおむね順調に進展している
上記概要については英語原著で投稿中である。
上記概要を基に多施設共同研究に展開して、血清ロイコトルエンと血漿好中球エラスターゼと測定し、好中球数・CRP・IL-8とともにカットオフ値を設定してRCT治療対象群の層別化に進める。
実験物品の購入を予定しているため。
血清を用いたバイオマーカーを測定する。
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