研究課題
新生児気管支肺異形成(Bronchopulmonary Dysplasia:BPD)の発症と重症化には、肺の未熟性、酸素毒性、容量圧損傷や炎症メディエーターによる生物学的損傷など多因子が関与する。本研究では多施設共同研究にて好中球ケモカインを中心にBPDの重症化因子を解析した。さらに解析結果を基に対象患者を層別化して、ケモカイン特異的なランダム化比較試験を展開した。重症化の評価は我々が開発した胸部CTスコアを利用する。また研究インフラは、「九大ハイリスク新生児臨床研究ネットワーク」が整備されている。多因子疾患であるBPDに対して、新生児個別の特性に応じた新たな治療戦略を目指した。私たちは自施設に入院した早産児を対象に、出生時と日齢14、28の血清・血漿保存と血液検査データを蓄積し、BPD発症児には退院前に胸部CTを撮影した。主要評価項目である胸部CTスコア、酸素投与日数、陽圧換気日数で互いに正の相関を認めた。単変量解析では、酸素投与と陽圧換気いずれに対しても、出生体重、在胎週数、日齢14と28の好中球数とCRPで有意な相関を認めた。重回帰解析では、酸素投与と陽圧換気いずれに対しての、日齢0では出生体重と好中球数、日齢14ではIL-8値とCRPで有意な因子が選択された。BPDの重症化には、出生時のみならず日齢14の好中球とその炎症メディエーターが関連することが確認された。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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