研究課題/領域番号 |
15K09721
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
高田 彰 岩手医科大学, 医学部, 助教 (30438494)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 超低容量血液浄化システム / 新生児 |
研究実績の概要 |
27年度は、①シリンジ駆動の自動化、②回路に組み込む圧力センサの作成、③自動化シリンジポンプと圧力センサを一体化したシステムの設計(気泡検知器を除く)を主に行った。 ①自動化シリンジポンプにはハミルトン社の電磁弁付シリンジポンプPSD/4を採用した。今まで手動で行っていたシリンジ部分をこの電磁弁付シリンジポンプに置き換えた回路を作成した。血流量4 ml/分となるようにシリンジ駆動をコンピューターで設定し、着色水を血液に見立ててこれを3時間、連続して循環できることを確認した。 ②圧力センサとして内腔容量が0.3ml程度のエアフリーチャンバ方式のものを開発した。これは回路内の圧力変化を隔壁を介してモニタリングするもので、これを用いてシリンジポンプの脱血時、送血時にそれぞれかかる陰圧、陽圧を数値化できることを確認した。 ③研究実施計画では気泡検知器も組み込む予定であったが、低容量化を実現しつつ精度を担保できる機器の目途が立たず現在対策中である。自動化シリンジポンプ、圧力センサの性能評価をそれぞれ行う予定だったが、それらを別々に行うコストや時間的労力の問題から、in vitroの実験に先行して、自動化シリンジポンプ(血液循環用、抗凝固薬用)とそれを制御するロータリースイッチ、回路の脱送血部、血液浄化器の入口部の3か所に圧力センサを組み込んだ一体型血液浄化システムの設計図を作成した。現在、この設計図に基づいてシステムを製造中である。27年度予算で、このシステムから圧力センサのデータを抽出と解析するためのパソコンとソフトを購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画では自動化シリンジポンプや圧力センサの性能評価をそれぞれ単独で行う予定でいたが、それぞれの駆動を確認できたことと、別々に評価するコストや労力の問題から、一体型システムの構築を優先した。そのため、当初予定していたin vitro実験は遅れているが、29年度に行う予定のシステム構築が先行していることから、実験計画全体としては順調に進行していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
28年度前半のシステムの完成を目指す。完成後、着色水やボランティアから採取した血液を用いたin vitroによる血液浄化実験を行い、システムの問題点の抽出、精度の確認を行い、それを踏まえて必要な改良を加える。また、27年度に引き続き、低容量回路に組み込める気泡検知器の検討を進める。一体型システムの性能評価と改良に重点を置き、準備が整い次第、in vivoの実験へ移行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の27年度研究実施計画では、今まで我々が検討してきた超低容量血液浄化システムに組み込む自動化シリンジポンプや圧力センサを準備し、それらの性能を確認するための血液浄化のin vitro実験を計画していたが、準備した機器の性能は予備実験で確認できたことから、29年度に予定していた一体型血液浄化システムの設計図作成と製造を先行させた。そのため、in vitro実験に用いる費用がかからなかった分、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
作成中の一体型超低容量血液浄化システムが今年度前半に完成予定であり、完成し次第、システムの性能評価のためのin vitro実験を行う予定である。
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