研究課題/領域番号 |
15K09721
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
高田 彰 岩手医科大学, 医学部, 非常勤講師 (30438494)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 新生児 / single-needle / 血液浄化器 / 腎代替療法 / 低用量 |
研究実績の概要 |
我々は膜面積0.01m2、容量1.0mlの血液浄化器、2.5mlの シリンジ、逆流防止弁を組み合わせた容量3mlの超低容量血液浄化システムを考案した。これは1本の血管アクセ ス(single needle)を用いて,シリンジポンプで押し引きの異なる位相に一方弁を組み合わせることで血液を循環させるsingle-needle dialysisの原理に依る.本研究では,このシリンジと一方弁をコンピュータ制御で自動化した改良システムを作成した. この改良したシステムを用いて、血液循環における回路内圧変化の検討をin vitroの実験で行った.成人ボランティアから採血した全血50mlに改良システムを装着し、血液循環と透析を3時間施行し,回路内圧力の検討を行った.回路内圧の測定は,single-needle部,シリンジ部,血液浄化器入口部で血液循環中の内圧を測定した.この血液検体を用いた観察により,血液浄化器入口部の圧が時間経過とともに最も早く上昇し,それに連動する形で,他の2つの回路内圧も上昇していくことが分かった。このため、血液浄化器を回路から外して、血液を循環させたところ,血液浄化器が組み込まれた状態よりも、圧上昇が少なくて済んだが、電子化した一方弁部分からの漏血が認められた。 本改良システムの問題点として,低用量化した血液浄化器の血液循環の際に抵抗となってしまう問題、電子化した一方弁の漏血が上げられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成29年度に勤務先が変更となり、非常勤講師として実験に携わっているため、研究時間の確保が難しい状況であった。
|
今後の研究の推進方策 |
研究時間の確保を行い、1年間の遅れ分を、平成30年度で取り戻す予定である.これまでに分かった問題点(血液浄化器ならびに一方弁の問題)を改良し、長時間血液循環でき、血液浄化療法の施行が可能なシステムを作成する.これを用いin vitroの検討を行う.具体的には体重約2kgのウサギを用い、片側の耳介静脈から尿素窒素を投与して急性腎不全モデルとする。もう片側の耳介 静脈に22G静脈留置針を留置し、血液浄化療法用の脱返血ルートとする。これに改良システムを接続し、24時間 を目標に血液透析を行う。治療開始の前後で採血し、透析排液濃度を合わせてクリアランスを算出する。施行可 能時間、回路内圧力の推移、気泡検知器の感度を検討し、問題点の抽出を行う改良型システムの改善を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に行い、評価をする予定だった研究が遅れ、平成30年度にずれ込んだため。平成30年度にはin vivoによる改良システムの長期透析を行う。この際の血液データの外部委託費用として、今年の残高を使用する見込みである。
|