研究課題
低酸素虚血性脳症(HIE)は脳虚血により神経細胞が低酸素に陥ることにより生じ脳性麻痺の主要因である。現在臨床応用されている低体温療法の効果は限定的であるため幹細胞療法が注目されている。本年度は、HIEモデルマウスに対するヒト羊水幹細胞(hAFS) 鼻腔内投与の治療効果を検討した。生後9日目のC57BL/6マウスの右総頸動脈を全身麻酔下で結紮し、8%酸素に30分間曝露させたHIEモデルを作成した。治療群にはhAFSのPBS懸濁液を、非治療群ではPBSを鼻腔内投与した。生後30日目にシリンダーテスト、および、ロタロッドテストを実施後に脳を摘出し脳実質冠状断面積の患側/健側比を計測した。さらに、蛍光色素PKH26で標識したhAFSを生後19日目に鼻腔内投与し、組織標本を用いて脳実質への生着を評価した。その結果、生後30日目(hAFS投与11日後)にはシリンダーテストは治療群で平均7.5%、非治療群で平均14%と有意差を認めた。また、ロタロッドテストでは治療群で有意な運動能改善を認めた。脳実質冠状断面積比の検討では、前頭極から6mmの断面において、治療群で平均0.956、非治療群で平均0.874であり患側/健側比の改善を認めた。さらに、標識hAFS投与24時間後の脳組織標本で脳実質内にPKH26陽性のヒト由来細胞を認めた。以上の結果から、新生仔HIEモデルマウスにおいて、hAFSは鼻腔内投与により脳実質に生着し脳実質面積の患側/健側比や前肢運動能の左右差を改善し、治療効果を認めた。
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