研究課題/領域番号 |
15K09726
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
飛彈 麻里子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (20276306)
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研究分担者 |
粟津 緑 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20129315)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | oligmeganephronia / 早産児 / ネフロン形成 |
研究実績の概要 |
本年度はマウス早産モデル作成を試みた。結果として母体帝王切開により成長可能な最も早い胎齢は胎生17日であった(通常18日で出生)。胎生16日で蘇生する新生仔もあったが哺乳できず1-2日で死亡してしまった。早産マウスではネフロンが形成されるnephrogenic zoneが生後7日まで観察され、8日(修正日齢7日)には消失した。対照マウスでは生後8日に若干nephrogenic zoneがみられ、完全に消失するのは9日であった。したがって早産マウスでは本来予想される日より1-2日前にネフロン形成が終止することが示された。ネフロン前駆細胞のマーカーcited 1の発現はnephrogenic zone 消失に先立ち約日齢3日前で消失すると言われている。現在cited 1発現をwestern blotにより検討中である。一方、申請者は早産により相対的に早期に子宮内に比し高酸素濃度に曝露されることによりネフロン形成が早期に終止するとの仮説を検証する予定である。そのため低酸素のマーカーHIF1a、HIF2a発現を評価する予定であったが、これらはwestern blotでは検出できなかった。低酸素にした胎仔をサンプルとし複数の抗体を用いて検討したものの不可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスでの早産モデルが想定していたようには作成するのが困難であった。ヒトで早産による糸球体減少がおきると考えられる週数は在胎26~30週の早産である。よって、妊娠15~16日くらいでの早産胎仔マウス作成を試みたが、哺乳がうまくいかず、生後1~2日程度で新生児死亡してしまった。現在通常の妊娠期間より1日早い妊娠日数での胎仔を用いた実験となっているが、その在胎日齢でも、nephrogenic zoneが1~2日早く消失することが確認できている。マウスは出生後もネフロン形成が持続するので、現在の条件でもヒトの早産児のモデルとして有用と考えている。試みていたやHIF1a、HIF2aのウエスタンブロットでの検出が困難で、実験を繰り返すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は低酸素環境下での新生児マウス飼育を試みたが、新生仔死亡となった。今年度は早産モデルの飼育で、ネフロン形成が1~2日早く終了することを確認した。私達は、ネフロン形成の停止が、高濃度酸素に晒される殊により惹起されるという仮説を立てており、今年度作成した早産モデルに於いて、低酸素マーカーのHIF1a、HIF2aの検出、評価を引き続き行う予定である。ウェスタンブロットでは検出が困難であったので、今後は免疫組織染色やquantitative PCRによるmRNAの検討を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた実験で、想定通りに進捗せず行えなかった物があった。購入した消耗品に想定していたより安価であったものがあった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品購入や、実験の一部を専門業者に委託するなどの費用に充当する。
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