研究課題/領域番号 |
15K09727
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
東海林 宏道 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30365621)
|
研究分担者 |
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 教授 (30260889)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 母乳栄養 / メタボローム解析 / 人工乳 / 乳児 |
研究実績の概要 |
【目的】母乳は乳児にとって最適な栄養源であり、神経発達だけでなく将来の生活習慣病発生リスク低減にも影響する。メタボローム解析は代謝中間体(メタボライト)の網羅的な測定が可能であるが、これまで栄養法の違いが乳児の代謝に及ぼす影響について詳細に検討した報告は少ない。そこで、生後1か月時および6か月時の尿メタボローム解析を行い、栄養方法別に比較検討した。 【方法】当院にて出生した健常新生児を対象とした。母乳栄養群(1週間の調製粉乳使用が540ml未満、1か月時:13例、6か月時:9例)、完全人工栄養群(1か月時:6例、6か月時:5例)について1か月および6か月健診時に採尿し、キャピラリー電気泳動質量分析法によるメタボローム解析を実施した。項目の一つであるクレアチニン塩酸塩による補正値を用いて結果を評価した。 【成績】両群間の体格の推移に有意差を認めなかった。メタボローム解析で測定した全110のメタボライトのうち、29項目がすべての尿サンプルで検出された。母乳群では人工乳群に比べ、1か月時にコリン及びコリン代謝物であるベタイン、N,N-ジメチルグリシン、サクロシンが有意に高値であったが、6か月時には有意差が消失した。乳酸は1か月、6か月ともに人工乳群で有意に高値であった。 【結論】母乳栄養は生後1か月時における尿中コリン及びコリン代謝物排泄増加、乳酸の排泄低下に影響を及ぼすことが示された。調製粉乳改良の観点からも尿メタボローム解析は有用と考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
早産児を対象とした検討が進んでいない(検体収集は進んでいるが、解析ができていない)。子宮内発育不全モデルラットの改良(アメロイドコンストリクターを用いた子宮動脈狭窄モデル)が進んでいない。
|
今後の研究の推進方策 |
早産児における尿中メタボローム解析を進める。 子宮内発育不全モデルラットの尿中、血中メタボローム解析を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
健常乳児を対象とした尿中メタボローム解析について、当初の目標検体数を達成することができなかった。 早産児を対象とした尿中メタボローム解析について、検体の解析まで研究を進めることができなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
早産児を対象とした尿中メタボローム解析を進める。 アメロイドコンストリクターを使用した子宮内発育不全モデルラットについての研究を進める。
|