本研究では、筋緊張低下をきたす新生児・乳幼児を対象にIDsの診断を目的とした分子遺伝学的解析を行い、筋緊張低下をきたす新生児・乳児におけるインプリンティング異常症(IDs)の頻度を明らかにすることを目的とする。本研究により、今まで未診断であった筋緊張低下を示す新生児・乳児の原疾患の確定診断が可能となり、診療方針の決定や遺伝カウンセリングに有用な情報をフィードバックすることができる。また、新生児・乳児期の筋緊張低下発症機序の少なくとも一端が解明され、新生児の神経学的発達に対するインプリンティング遺伝子の関与の機構が解明されることが期待される。 本研究では、PWSに対する先行研究にならい「新生児集中治療部および小児神経科の医師より筋緊張低下を有すると判断された0-2歳の新生児・乳児」を対象に末梢血由来DNAを収集し、パイロシークエンス法によりIDs 8疾患スクリーニングおよびaCGH法による微細染色体構造異常の有無を検索する。 研究開始から研究終了年度である当該年度の3年間で、70名の筋緊張低下を有する新生児・乳児症例の血液および臨床情報の解析を行った。全解析症例中、IDsは10症例(14.3%)(Silver-Russell症候群1名、Temple症候群1名、Prader-Willi症候群7名、Angelman症候群1名)、染色体微細構造異常症例は9名(12.9%、臨床症状との関連が不明な例も含む)であった。
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