研究課題/領域番号 |
15K09735
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
豊島 勝昭 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (50307542)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 新生児 / 早産児 / 動脈管開存症 / 心エコー検査 / 左房容積 |
研究実績の概要 |
極低出生体重児に好発する未熟児動脈管開存症は死亡や後遺症に直結する重要な病態の1つである。治療はシクロオキシゲナーゼ阻害薬による薬物療法と手術療法があるが、その治療の適応を判断することは困難である。心臓超音波検査による重症度評価と治療適応を決めることが世界的に注目されているが、どのような心臓超音波検査の指標が診断や重症化の予測に有効であるかは未だ不明である。 本邦は極低出生体重児の心臓超音波検査が普及している国である。本研究は未熟児動脈管開存症の心臓超音波検査による診断と重症度評価に関する全国34施設の多施設共同研究である。どのような心臓超音波検査の指標がより的確に未熟児動脈管開存症の重症度評価の予測に有用であるかを検討してきた。従来の心臓超音波検査指標に加えて、左房容積といった成人循環器学で注目されている指標などもあわせて比較研究する計画である。 2016年度は全国34施設の協力で、順調に多施設共同研究の症例登録が進み2016年12月31日で698名の症例登録が終了して、予後調査を含めた症例登録のデータ固定を2016年3月31日の時点で613名が完了している。成育医療研究センターに設置したデータセンターが機能して、質の高い研究データの収集と管理ができ、質の高い前向き研究が進捗している。2017年度は全症例のデータ固定を終えて、結果分析に入る予定である。 未熟児動脈管開存症の心臓超音波検査の臨床研究は世界的に増加傾向であるが、その中でもこれまでにない大規模な前向き研究としての成果を報告できる予定である。本邦から世界に向けて未熟児動脈管開存症のよりよい診断と重症度評価の指標を発信できるとともに、多施設共同研究を通じて新生児医療における心臓超音波検査の標準化と質向上が実現できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
全国多施設の協力体制が良好であり、計画以上に順調に進展した2016年度であった。 脱落施設が出ると予想していたがほとんどなく、各施設の症例登録が当初の計画より早く進展した。症例登録終了前にもかかわらず、既に各施設から症例登録完了後の多数のサブ研究のアイデアが出ていて、当初の計画より早く研究・解析計画を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
2017年5月に症例登録、全データ固定とし最終解析を行う予定である。 本研究のデータベースは、早産児のserialな超音波計測と臨床情報を併せ持つ、世界的に類を見ない貴重なデータベースである。 本研究に加え、循環と関連した多彩な臨床的疑問を検討するためのサブ研究の展開をすでに開始しており、本年度はさらに発展・進行させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
想定以上に研究参加施設の症例登録が順調であり、施設訪問による研究支援の必要性がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
データセンターの継続、研究成果の分析や発表に対する使用を予定する。
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