研究課題
あらたな新生児発作モニタリングシステムの提案を目指し、動画像と脳波の解析による発作検出プログラムの開発と非侵襲的な呼吸・心拍・血圧モニタリング装置の開発を並行して進めた。まず新生児の発作時動画像解析を10例行ったが、新生児集中治療室の保育器内環境・背景の影響で児の頭部・体幹・四肢位置情報の抽出が困難であった。このため、体と背景のコントラストが付きやすい環境で記録された少し月齢の大きい乳児のてんかん発作時脳波・動画像を用いて発作時動画像解析システムの開発を進めた。乳児のてんかん性spasmsについて、計測した動画像からフレーム間差分画像を作成し、児の身体を左右上下肢の4つの部分領域に分割し、各領域における運動量、運動量の変動、四肢運動量の相関を指標とした。脳波に関しては振幅を評価し、脳波振幅変動と速波振幅を指標とした。四肢運動量変化量、四肢運動量の相関、脳波振幅変動、速波振幅の4つを指標にしてLinearized Gaussian Mixedture Networkを用いることで、平均識別率95.2%、平均感度96.2%、平均特異度94.2%でspasmsと非発作時の自発運動を自動識別することが可能であった(医師によるビデオ脳波記録判読による発作診断をリファンレンスとした)。非侵襲的な呼吸、心拍、血圧データを発作自動識別に利用するための研究として、新生児用のマット型バイタルサインモニタの開発を行った。成人用の体表脈波センサでは新生児の持続モニタリング用には固すぎたため、体圧分散マットを利用して新たな体表脈波センサを開発した。新生児3例について、覚醒時、睡眠時の体表脈波信号と心電図の同時記録を行い、体表脈波信号処理の最適化を行ったところ、心拍信号と呼吸信号の抽出に成功した。本研究により新たな新生児発作モニタリングシステム開発のために重要な基本的技術を確立することができた。
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ネオネイタルケア
巻: 30 ページ: 42-45