1.プロフィラグリンN末領域(proFLG-N)とアポトーシス誘導シグナル経路の関連の検討:カルパインの阻害薬であるPD150606によりproFLG-N誘導細胞死が抑制されたことから、siRNAでカルパインIを抑制しproFLG-ABT constractの作用を検討した。その結果同様にTUNEL陽性細胞数が減少した。さらにカルパインIを抑制した細胞を用いて3次元培養系で皮膚組織を作製したところ角層内に多くの核の残存が確認された。以上よりカルパインIの経路が細胞死(DNAの分解)に関与している可能性が示唆された。さらにカルパインIのシグナル経路との関連が知られているAIFとENDO-Gの関与を検討したところ、proFLG-N導入よりTUNEL陽性になった細胞の核内にAIFが局在していた。 2.proFLG-Nと結合する蛋白質pininの表皮における発現・機能解析:表皮角化細胞におけるpininの機能を検索するため、pininの発現を抑制した表皮角化細胞を用いてmicroarray解析を施行した。その結果対照と比較してpinin抑制細胞では多くの抗アポトーシス関連分子の発現が減少し、プロアポトーシス分子の発現が亢進していた。以上よりpininは表皮角化細胞の増殖あるいは生存に関与していることが示唆された。proFLG-Nとの関連について検討している。 3.TAT-1-19proFLG-Nの癌細胞株に対する細胞死誘導効果の検証:proFLG-Nの最もN末端に存在するペプチド(1-19アミノ酸)を皮膚有棘細胞癌の株細胞であるA431、HSC-1処理した細胞に導入し、30分後にannexin V/PI用いてFACS解析を行ったところ、A431細胞では明らかな変化が確認できなかったが、HSC-1細胞ではほとんどの細胞が後期アポトーシス/ネクロ―シスの分画に存在し、細胞死が誘導された。
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