研究課題
培養細胞による脂質制御の表現形が安定せず、生体の解析に重点をシフトして研究を行った。AK2のfloxマウスのホモ個体を得ようとしたが、体外受精法を試してみてもホモ個体を得ることはできなかった。AK2ノックアウトマウスは胎生致死であることが報告されている。floxed ES細胞選択用に組み込まれたFlp NeoがAK2発現を阻害している可能性が考えられた。そこでFlpマウスと交配させ、Neoを飛ばそうと試みたが、Neoを飛ばすことに未だ成功していない。現在、理研よりFlpマウスを新規にもらいうけ交配を行っている。一方、カベオリンノックアウトマウスを用いた、胎児期での皮膚基底細胞の分裂軸は、野生型に比べて分裂軸がランダムに乱れることを見出した。しかし、皮膚形成そのものに影響を与えている証拠は得られなかった。これは以前のABL1ノックアウトマウスでも同様であったことから、分裂軸異常だけでは、皮膚形成異常は起こらない、ロバストな皮膚形成機構であると考えられる。皮膚においては、胎児期E10ステージの子宮内に高濃度のレンチウイルスを注入することで皮膚特異的にウイルス感染させることができることが知られている。AK2のコンデショナルノックアウトマウスがどうしてもできない場合はこの系を用いることも計画している。
3: やや遅れている
AK2floxマウスが思うように動かず苦戦している。Neoを飛ばすことで先にすすめると思われる。一方でcaveolinマウスでの分裂軸制御の乱れが見られたことは進展と思われる。今後はAK2との関わりを精査していくつもりである。
どうしてもうまく行かない場合の代替案として以下を考えている。AK2KOマウスは胎生致死であるが、皮膚発生時より少し早く死んでしまう。致死になる以前の臓器での細胞分裂軸、細胞運命を調べることも研究成果をまとめる現実的な手段であろうと考えている。特に造血細胞は、Ak2の機能が報告されており有望である。こちらの研究も並行して行うことを計画中である。
AK2 floxマウスのホモ作出がうまくいかず試行錯誤しているため実験が遅延している。
Ak2マウスの交配、維持、及び皮膚以外の臓器での実験系の確立も視野に消耗品を中心に使用していく予定である。
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Nature Communications
巻: 7 ページ: 1-12
10.1038/ncomms11858