研究課題
太陽光中の紫外線(UV)は、皮膚癌発症を含めた様々な紫外線皮膚障害を及ぼすストレッサーである。紫外線皮膚炎症は臨床的に「日焼け」として観察され、紫外線曝露後の皮膚炎症が遷延する光線過敏症はその発症機序に不明な点が多い。一方、表皮ランゲルハンス細胞(LC)やアポトーシス細胞が炎症制御に重要な役割を果たすことが注目されている。本研究では紫外線皮膚炎症の終息機序におけるアポトーシスに陥った角化細胞であるサンバーン細胞やLCの役割を解明することを目的とした。昨年度までの研究により、LC欠損マウスにおいてはUVB誘導性皮膚炎症反応である耳介腫脹反応が遷延することを観察していた。またそれに引き続きLC欠損マウスにおけるUVB誘導性皮膚炎症時には、T細胞、マクロファージ、樹状細胞などの真皮に浸潤してくる炎症細胞が増加していること、IL-6などの炎症性サイトカインが増加する一方で抗炎症性サイトカインであるIL-10が減少していることを確認した。続いて本年度には興味深いことにLC 欠損マウスにおいてはUVB照射後にアポトーシスに陥った角化細胞が増加していることを観察し、その理由としてLCがUVB照射後にアポトーシスに陥った角化細胞をex vivoで貪食することを初めて確認した。野生型マウスではアポトーシス阻害剤であるQ-VD-OPhの投与、貪食阻害剤であるCytochalasin Dの投与でUVB誘導性皮膚炎症反応が遷延する一方で、LC欠損マウスにおいてはその効果がキャンセルされることを確認した。以上の研究結果より、紫外線暴露時の皮膚においては、表皮LCとアポトーシスに陥った表皮角化細胞の相互作用が炎症の遷延化の制御に必須な役割を果たしており、LCによるアポトーシス細胞の貪食が紫外線炎症の制御に大きな役割を果たしていると結論づけた。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
J Am Heart Assoc.
巻: 6 ページ: pii: e007024.
10.1161/JAHA.117.007024.
J Immunol.
巻: 199 ページ: 2937-2947
10.4049/jimmunol.1601681.
Arterioscler Thromb Vasc Biol.
巻: 37 ページ: 66-74
10.1161/ATVBAHA.116.308063.