研究課題/領域番号 |
15K09743
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
新原 寛之 島根大学, 医学部, 講師 (60362935)
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研究分担者 |
河野 邦江 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (20432619)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 迅速性 / 安価 / 感度・特異度 |
研究実績の概要 |
H28年度に収集したリケッチア疑いの患者検体(全血、皮膚組織、痂疲)から抽出したDNAを用いて、リケッチア症の迅速診断、及び病原体の同定を行った。16例の疑い例の内、6例が同定しえた。内訳は5例が日本紅斑熱で、1例がツツガムシ病であった。それら6検体を用いてLoop-mediated Isothermal Amplification(LAMP)法を用いたリケッチア症の迅速診断を試みた。日本紅斑熱R, japonicaの17KDa抗原遺伝子をターゲットとした新規プライマーを作成し、ツツガムシ病については既報の論文に従ってO, tsutsugamushiの60-KDaのheat shock protein GroEL遺伝子をターゲットとしたLAMPプライマーをそれれぞれ作成した。上記16例の疑い症例にLAMP法を行い、同定された日本紅斑熱5例、ツツガムシ病1例を陽性判定し、他は陰性反応を得た。
典型的な水疱形成を来すHHV(ヒューマンヘルペスウイルス)-1,2,3感染の9例は、全例がそれぞれのウイルス抗原検査と結果が一致した。 典型的水疱形成形成する前の紅斑のみの臨床所見で受診したと考えられた、ヘルペス感染症疑い16例の患者の皮膚組織から抽出したDNAを用いて、HHV-1,2,3それぞれについて既報を参考にLAMPプライマーを作成し、LAMP法を行った。結果は、7例/16例で陽性反応がみられ、また、確認のために施行したReal time PCRにても7例とも陽性反応を得て、抗ウイルス剤投与にて全例とも速やかに症状の改善が得られた。他の9例/16例は、確認のために施行したReal time PCRにても陰性であり、中毒疹または薬疹の診断で被偽薬中止または経過観察にて自然軽快した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日常臨床で高頻度に遭遇する感染性発疹症として、Ⅳ型以外のヒトヒューマンヘルペスウイルス(HHV)のⅠ~Ⅲ、Ⅴ、Ⅵ、手足口病、リケッチア症、麻疹、風疹、伝染性紅斑を想定し、LAMPプライマーを既報を参考に作成し準備している。HHVのⅠ~Ⅲ型、リケッチア症のツツガムシ病は既報参考に作成したLAMPプライマーでLAMP法を行い、ゴールドスタンダードのNested PCRによる結果と比較し、Shimokoshi型以外は検出が可能であった。日本紅斑熱は、当科で作成のプライマーでNested PCRで確認された症例の皮膚または痂疲抽出DNAを用いたLAMP法で全例陽性であった。罹患率の低いヘルペスウイルスⅤ、Ⅵ型や特定時期に集中する麻疹、風疹、伝染性紅斑は、時期ごとに集中して検体収集を行う。装置では、等温増幅濁度測定装置(Loopamp Exia, 栄研化学)を用いた解析に加え、等温蛍光測定装置(Genie, OptiGene社)を用いて、測定し、同等の結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
検体採取には、紅斑呈し、上記疾患を疑う全例に、疑わしい感染症の特異的プライマーを作成してLAMP法を行う。Nested PCRまたはReal time PCRのプライマーを既報告参考に作成して、LAMP法との結果を比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
検体数が予定よりも少なかったことが理由として挙げられru .
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次年度使用額の使用計画 |
また、今年度はReal time PCR、Nested PCRのプライマーを準備して検査精度の確認を行うとともに、研究総括として論文報告及び学会発表を行う。
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