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2016 年度 実施状況報告書

皮膚悪性腫瘍の全エクソンシークエンスによる網羅的遺伝子変異解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K09752
研究機関近畿大学

研究代表者

大磯 直毅  近畿大学, 医学部, 准教授 (10419814)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード皮膚悪性腫瘍 / 悪性黒色腫 / 有棘細胞がん / 網羅的遺伝子変異解析
研究実績の概要

近畿大学医学部遺伝子倫理委員会で承認された文書にもとづいて説明し、文書による同意をいただいてから試料解析研究を実施している。平成27年度は悪性黒色腫患者5名より病変部と末梢血からゲノム遺伝子を抽出し、全エクソンシークエンスを実施した。平成28年度は病変部と末梢血のゲノム遺伝子の違いにより、悪性黒色腫発症に関与する遺伝子変異に関してゲノムインフォ―マティクスを用いて解析した。1例は手術後5年以上経過してから生じたリンパ節転移病変部試料を採取した。既知の悪性黒色腫ドライバーがん遺伝子が同定されたが、検出頻度の低い遺伝子であった。増殖速度の遅いドライバーがん遺伝子である可能性が示唆された。2例は皮膚由来悪性黒色腫病変部から試料を採取した。典型的な増殖速度の速いドライバーがん遺伝子により制御されていることが示された。2例は粘膜悪性黒色腫由来転移病変部から試料を採取した。RAS-MAPK経路の典型的なドライバーがん遺伝子の変異は同定されず、異なる増殖機序が示唆された。
平成28年度は光発がん機序が関与すると推測される多発性有棘細胞がん発症例の摘出標本からゲノム遺伝子を抽出し、ドライバーがん遺伝子の変異解析を実施している。同じ臓器に発生しているがんであってもドライバーがん遺伝子に個人差があることが知られている。同じ臓器に発生しているがんであっても、多発性の場合それぞれにドライバーがん遺伝子に違いがあるかどうかを検討することは、個別化医療から個腫瘍化医療への展開に必要な情報を提供しうる可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

悪性黒色腫については全エクソンシークエンスによる網羅的遺伝子変異解析を実施し、バイオインフォ―マティクスによる解析も順調に遂行できている。これまでの国際雑誌に掲載された関連論文と比較検討し、新規知見となりうる解析結果を得ている。悪性黒色腫は悪性黒子型黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、末端黒子型黒色腫に分類される。本邦は欧米と比較して悪性黒子型黒色腫と表在拡大型黒色腫の頻度が低く、末端黒子型黒色腫の頻度が高い。それぞれの型の悪性黒色腫とそのドライバーがん遺伝子の関連性解析結果を集積することで、悪性黒色腫診療に貢献できる可能性がある。さらに、稀な臨床症例(遅発性転移症例や粘膜由来型など)の解析により、典型的な悪性黒色腫と比較して腫瘍遺伝学的な相違点を明確化できる可能性を示唆できている。多発性有棘細胞がん発症例についても、多発性の場合それぞれにドライバーがん遺伝子に違いがあるかどうかを明らかにできるであろう。

今後の研究の推進方策

悪性黒色腫の全エクソンシークエンスとゲノムインフォ―マティクスによる解析は適宜実施していく。多発性有棘細胞がん発症例のドライバーがん遺伝子変異解析結果をゲノムインフォ―マティクスを用いて解析していく。さらには希少皮膚悪性腫瘍の全エクソンシークエンスとゲノムインフォ―マティクスによる解析を検討していく。また、これまでの研究成果は学会発表・論文発表を通じて公開する。

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公開日: 2018-01-16  

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